2016年10月1日、韓国の排他的経済水域(EEZ)内で不法操業していた中国漁船が火災となり、船員3人が死亡した。取り締まり中の韓国海洋警察が使った閃光(せんこう)弾が出火原因とみられる。中国漁船が大挙して押し寄せる韓国近海。過去にも双方で死者が出ている“一触即発”の危険な海でもある。

中央日報などによると、9月29日午前、韓国南西部の全羅南道新安郡紅島沖70キロの韓国EEZ内で操業していた中国・江蘇省の漁船(102トン)を海洋警察が発見。違法操業の有無を確認するために検問を実施したところ、停船命令を無視して逃走した。

海警は高速艇で追跡し漁船に乗り移ったが、船員は操舵(そうだ)室に鍵を掛けて抵抗。海警は強い光と爆音を出す非殺傷用の閃光弾3発を操舵室の中に投げ込んだ。2発が爆発し、1発は不発で、その後、操舵室付近で火災が発生した。

漁船には中国人船員17人が乗り組んでおり、海警がうち14人を救助したが、船員3人(30代、50代、60代各1人)が機関室内の床にうつ伏せになった状態で見つかった。海警は直ちに心肺蘇生を試みたが、死亡を確認。3人に特に外傷はなく、煙で窒息死したとみられる。

海警は「中国漁船取り締まりなどの現場で閃光弾によって船に火災が発生したことはこれまでなかった」と説明。「閃光弾の爆発で操舵室から火が出たと断定はできない。正確な火災原因を解明する」としている。

韓国にとって「イナゴのように押し寄せ」(韓国メディア)違法操業する中国漁船の取り締まりは頭痛のタネ。北朝鮮との境界線近くの韓国側水域には6月ごろになると、旬のワタリガニを狙って中国漁船が一斉に侵入。海警などが出動すると、中国漁船は北側の水域に逃げ込む「ワタリガニ戦争」が年中行事のように繰り返される。

中国漁船が取り締まりを避けようと韓国側の警備艇に体当たりするなど、双方が衝突するケースも続発。10年12月には中西部の黄海上で抵抗した漁船が転覆して2人が死亡した。12年10月には海警が違法操業取り締まり中に中国漁船にゴム弾を撃ち、これに当たった船員1人が死亡。14年10月には中国漁船の船長が拳銃で撃たれ、亡くなる事件もあった。

犠牲者は中国側にとどまらず、韓国側にも出ている。12年12月には海警隊員が中国人船員にガラス片で脇腹を刺されて死亡した。隊員の死亡は2例目だった。

9月29日の事件を受け、在韓中国大使館側は海警側に対し、正確な調査を要請した。過去の死亡事件は中韓両国が冷静に対処し、大きな外交問題には発展しなかった。しかし、今回は在韓米軍への高高度迎撃ミサイル(THAAD)配備をめぐり、両国間に緊張が高まる中で起きた。それだけに両国の対応に注目が集まりそうだ。(編集/日向)