「声優」という言葉を聞けば、ほとんどの人が日本のアニメ・漫画界の「声による出演者」を連想するだろう。一方、今の中国では、アニメ・漫画、ゲーム、テレビ・ラジオドラマにおいて吹き替えを担当する若い人々もいる。人々がイメージする従来の「吹き替え担当者」とは異なり、1980年・1990年代生まれの新世代は自分自身の声で一つの「二次元」空間の扉を開きつつある。中国新聞網が伝えた。

アニメスタジオ「柴少鴻工作室」で仕事をしている荼荼さんは、生まれながらの「アニメ・漫画」向きの声の持ち主だ。その声は、スクリーンに登場するアニメの主人公「大きな耳のトゥートゥー」を連想させる。このため、荼荼さんは主に「二次元」作品の吹き替えの仕事を行っており、「ゲーム、アニメ・漫画はなんでもあり」という。

荼荼さんによると、普段している仕事が吹き替えだと話すと、周囲の人から、『誰それの声をやってみて』と必ず頼まれるという。彼女は国内の吹き替え声優について、「素人にとっては謎めいた商売」だと感じている。

その「謎」の背後には、普通の人とは全く違う労働形態がある。アニメ・漫画やゲームの吹き替えを仕事としている荼荼さんは、声優としてはまだ駆け出しだ。「決まった出社時間というものがないため、昼夜逆転生活が当たり前になっている。忙しい時は睡眠時間さえ確保できない。1日に十数時間働かなければならない時もある」という。

「雑貨舗工作室」で仕事をしている慕秋■(■は王へんに炎)さんは、声優になって5年あまり。「声優になったきっかけはアニメ・漫画ファンだったこと。アニメ・漫画が大好きな人は多いが、その世界に参加する人はほとんどいない。実際、アニメ・漫画の世界で、吹き替えは非常に大きな部分を占めている。多くの作品を見ればみるほど、この仕事に興味が生まれ、好きになる。自分の声を生かして、アニメ・漫画のキャラクターを演じられることは、私にとっては非常に素敵な体験だ」と語った。

この仕事の収入について、慕さんは「仕事を始めたばかりの頃は収入は決して高くない。収入を得るというより、技術を学ぶという意味合いが大きい。今は比較的安定した別の仕事についており、空いた時間に声優業をやっている。家賃の支払いは問題ない。日々のやりくりがちゃんとできているうえで、自分の好きなことも少しはできており、とても満足している」と述べた。

本業とは別にアニメ・漫画の吹き替えの仕事をしている人は、実のところ少なくない。「雑貨舗工作室」の李逍遥さんは、7、8年前から、ネット番組の吹き替えの仕事をしている。彼は主に本業の仕事以外の時間で吹き替えの仕事をこなす。「毎日、1〜2時間空いた時間があれば、他の人がゲームや麻雀で楽しむのと同じように、吹き替えの仕事をする。娯楽という点では彼らと何ら変わらない。ただ、私たち声優は声を録音することが好きなだけだ」と話した。

同じように空いた時間を生かして仕事をする「雑貨舗工作室」の八千里路さんは、「この仕事する多くの人は熱意と興味によって仕事をこなしている。だから、志を同じくする仲間は非常に多い。通常、吹き替えの仕事で小遣い程度の額を稼げるが、誰もが自分から進んで好きなことをやっているという自負を持っている。声優は金銭的な報酬だけでなく、『多くの快楽』という、より大きなものを得ている」と強調した。(提供/人民網日本語版・編集/KM)