2014年10月14日、日本、中国、韓国、米国、ロシア、インド、EU(欧州連合)の7極協力による「未来のエネルギー」国際熱核融合実験炉機構(ITER=イーター)のベルナール・ビゴ機構長(元仏原子力・代替エネルギー庁長官)が日本記者クラブで会見した。2025年に運転開始、35年にフル稼働する。同機構長によると、35年までの総工費は180億ユーロ(約2兆500億円)に達する。EUが45%(約9200億円)を拠出、その他の6カ国が9.1%(約1900億円)ずつ出資する。日本がドーナツ形フィールドコイル、中国がパルス高圧変電所(PPEN)メイン変圧器、インドが炉底部分、韓国が真空容器、ロシアが超電導コイルをそれぞれ製造。南フランスの巨大建設現場に持ち込まれ、組み立て作業が本格化する。

太陽や星のエネルギー源である核融合を地上で大規模に実験し、2060〜70年に大型産業用の発電を実用化する。

ITER計画は1985年のジュネーブでの米ソ首脳会談をきかっけとして開始され、ITER移行措置 (ITA) の活動として、国際チームの作業サイトが、茨城県那珂市にある日本原子力研究所・那珂核融合研究所 (現量子科学技術研究開発機構・那珂核融合研究所) と、ドイツのミュンヘン郊外ガルヒンクにあるマックスブランク・プラズマ物理研究所に置かれ、作業を進めた。

その後、日欧の誘致合戦の末、2005年6月、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスにITER建設サイトが決定。2007年にITER協定が発効した。日本では量子科学技術研究開発機構が協定に基づき、日本が分担するITER機器や設備の調達活動を進めるとともに、ITER機構への人材提供の窓口としての役割を果たしている。

ビゴ機構長は記者会見で「南仏で建設中の国際熱核融合実験炉を2025年に本格稼働させ、2060―70年には大型産業用の発電を実用化させたい」と説明。「熱核融合は核分裂反応による原子力発電と比べて、はるかに安全で放射性廃棄物問題は軽微。今の原発より数段優れたものになる」と強調した。

また工程表を改定し、組み立て終了・運転開始(ファースト・プラズマ)は5年遅れの2025年、フル稼働は8年遅れの2035年となるとの見通しを明らかにした。建設期間の延長と組み立て費用の再検討で、35年までの費用は約35%、46億ユーロ(約5200億円)増の180億ユーロ(約2兆500億円)になった。7極のうち、米国の議会が拠出に難色を示していたが、「今回の改定費用を上限に、事業を適切に管理する」ことで引き続き協力することになったという。(八牧浩行)