[東京 6日 ロイター] - 10月1日付で持株会社体制に移行した第一生命ホールディングス<8750.T>の渡辺光一郎社長は、ロイターとのインタビューで、国内生保業界でも将来、再編が起こる可能性が高いとの認識を示し、必要と判断すれば同社もM&Aを行う可能性を示した。

日銀の新たな金融政策の枠組みついて渡辺社長は、超長期金利の低下による悪影響に配慮したものとして評価できると述べた。追加緩和でさらに金利が低下する可能性についても、留意する必要があると述べた。

主なやりとりは以下の通り。

──持ち株会社にした狙いは何か。

「今後、IOT(インターネット・オブ・シングス)やAI(人口知能)などの進化で、かなりの変化が起こる。国内の生命保険業界では、ここ1、2年でM&Aがそれほど起こるとは思っていないが、テクノロジーの進歩のペースや人口構造の変化を考えると、2020年以降、M&Aを含めた変化は必ず訪れるだろう。その時に最も柔軟に対応できる組織形態が持ち株会社だ」

「システムインフラが急激に効率性を生み出す段階に来ると、そこは非競争領域とみなして、規模の効率性で割り切った方がいいという時代が来るかもしれない。そうなると、システムインフラ統合のためのM&Aというのもあり得る」

──国内の再編はいずれ起こると考えるか。

「危機感の共有化ができないと、なかなかそういう動きにならない。生保業界はストック産業なので、マイナス金利下でも危機感はそれほど出てこない。フロー収益では利息配当金収入が減少しているが、保有債券には(金利低下による価格上昇で)含み益が生じるからだ」

「むしろ金利が(上昇方向に)動き始めた時が問題だ。本当の危機感は、そのときに生じると思う。今の低い金利でデュレーション・マッチング(長期にわたる保険契約に合わせて年限の長い国債を買うこと)をしているところほど、解約リスクが起きやすい体質になっている。しかもストックの利回りを落としているので耐性力が落ちている」

──海外のM&Aについての方針は。

「(海外進出は07年の)ベトナム(の生保買収)から始まり、(昨年の)米プロテクティブライフの買収があり、これからが第3ステージだ。もう少し大規模なM&Aも想定したいが、足元のマイナス金利の影響もあり、ソルベンシーIIなどの自己資本規制基準などで見た場合に資本水準が低くなるというマーケットの評価を受ける可能性がある。このため、ここであまり無理はできない。資本を充実させながらステップを踏んでやっていく必要がある」

──マイナス金利下で、財務の健全性がきちんと指標に反映されているか懸念があるのか。

「(先行導入された)欧州でも、ソルベンシーII規制が本当にそのままでいいのかという議論も起きている。現行の財務会計ベースだとソルベンシーマージンも900パーセントを超え、まったく問題はない。それがソルベンシーIIの経済価値ベースになると、現在の日本国債のイールドカーブを前提に資産の利回りを試算するため、実際の利回りに比べて著しく低く出てしまう。ソルベンシーIIの持つ矛盾が、マイナス金利下で露呈している」

──日銀の金融政策の新たな枠組みについて。

「足元の金利水準では国債投資は引き続き抑制しているが、生保業界として、今回の購入対象国債の平均残存期間の廃止や、イールドカーブ・コントロールの導入は、(超長期債の金利低下によるマイナス)影響への対処として評価できる」

「ただ、日銀が追加緩和策として挙げている長短期金利目標の引き下げなどで、さらに金利が低下する可能性にも留意すべきだと考えている」

*このインタビューは8月29日に行われました。日銀の新スキームについては、決定会合後に追加で見解を求め回答を得ました。

(浦中大我 編集:田中志保)