[東京 6日 ロイター] - ドル/円<JPY=EBS>が、テクニカル面で重要な局面を迎えようとしている。節目の104.32円を抜けて一気に円安が加速するのか、それとも上値を抑えられ、ボックス相場に移行するのか。市場では、その行方を占うキーとして、2つの「ダブル」に対する関心が急速に高まっている。

直近の市場では、ドル/円の上昇が続いている。米大統領選に関連した「トランプ・リスク」の後退が意識されるほか、石油輸出国機構(OPEC)による増産凍結で大枠合意し、ドル安/円高方向への材料がここにきて目立って減少してきた。

加えてジグザグしてきた米経済指標でも、堅調なデータが相次いで公表され、リスクオン心理の広がりを背景にドル/円は、9月27日から5日まで7連騰した。

今年ドル/円は、年初の120円台から英国の欧州連合(EU)離脱を決めた6月の国民投票直後の99円まで、右肩下がりで下落してきた。

ただ、7月以降は下落の流れにブレーキがかかる。99円台への下落は何度かあっても滞留時間は短く、7─9月は100─105円を軸にしたレンジでの推移が続いた。

7月以降に下げ渋ったことで、移動平均線や一目均衡表といったテクニカル指標が100円付近に収れん。

4日には、年初から頭を押さえられてきた75日移動平均線、5日にはなかなか上抜けできなかった日足一目均衡表の雲の上限を、それぞれ上回った。

こうしたレジスタンスポイントをこなしたことが、さらに上昇に拍車をかけたともみられている。

<鍵を握る2つの「ダブル」>

目先で注目されるのが、9月2日につけたドル/円の直近高値104.32円をめぐる攻防だ。ここを抜ければ、短期間での105円台回復もあり得るとみられている。

一方、買い方が売り方に押されて上抜けできず、2回目の天井をつければ「ダブルトップ」が形成され、先行きもその水準がレジスタンスとして意識されやすくなる。

IG証券のシニアFXストラテジスト、石川順一氏は「ダブルトップ形成なら100.00─104.00円のレンジにシフトしかねない」と見ている。

9月2日高値は、もうひとつの「ダブル」にとっても重要なポイントだ。英国民投票の際の下落から値を持ち直したドル/円は、7月後半から再び下げに転じ、8月半ばに100割れの水準まで下げた。その後、9月2日にかけて反発したが、9月後半にはあらためて100円付近にまで弱含んだ。

足元の上昇を受け、ダブルトップの逆となる「ダブルボトム」「トリプルボトム」が形勢されてきている。9月2日高値104.32円は、市場参加者が相場の地合いの変化を意識しやすくなるとされるダブルボトムの「ネックライン」に当たる。その点からも「上抜けた場合、円高修正がさらに加速する展開が想定される」(石川氏)という。

<米雇用統計が節目になるか>

目先で注目されるイベントは、7日発表の米雇用統計だ。

外為どっとコム総合研究所の調査部長、神田卓也氏は「新規失業保険申請件数の推移を見ても、雇用統計は8月より強い数字になる可能性がある。市場予想をしっかり上回るようなら、ドル/円は105円への上昇もあり得る」と指摘している。

従来は、米早期利上げの思惑が高まれば、株式・商品市場が崩れ、リスクオフの円買いが勝ることでドル/円は下落しやすいとみられてきた。ただ、足元では、強い米指標が出ても米株価が底堅い動きとなっている。

米長期金利の上昇が金融株主導の株高につながったとみられ「今までとは様子が変わってきている。米指標が強い場合に金利上昇、株価上昇となり、ドルと円の両面から相場上昇圧力がかかるという『いいとこ取り』の展開もありそうだ」と神田氏は話している。

ドル/円の季節性も、強気派にとって追い風となりそうだ。JPモルガン・チェース銀行の為替調査部部長、棚瀬順哉氏は、過去10年間のドル/円相場の動向をみると第4・四半期には上昇する傾向があるとまでは言えなくとも「大きく下げづらい」と指摘している。

10年の平均では第3・四半期(7─9月期)に1.7%下落したあと、第4・四半期(10─12月期)に1.2%上昇しており、リーマン・ショック直後の大幅下落で押し下げられたケースを除くと、第4・四半期は3.0%の上昇と分析している。

「投機筋のポジション調整が本格化すれば、円安の余地はそれなりに大きい」(棚瀬氏)といい、5月や7月の円安局面と同程度のインパクトが出れば、過去数カ月のレンジ上限107.49円を試し得るという。

(平田紀之 編集:田巻一彦)