[松本市 12日 ロイター] - 日銀の原田泰審議委員は12日午後に長野県松本市で開いた記者会見で、物価は従来見通しを下回っていると明言し、2017年度に2%の物価目標を達成する見通しも下振れる公算が大きいことを示唆した。しかし「雇用情勢の改善トレンドが続いており、今時点であれば追加緩和は必要ないかもしれない」と語った。

<物価上昇後ずれしているの事実>

日銀は10月31日━11月1日に次の金融政策決定会合を開き向こう3年間の示す展望リポートを公表する。「物価の上昇が現在後ずれしているのは事実。そのような物価見通しになるだろう」と述べた。

一方、物価の後ずれがすなわち追加緩和に結びつかないとの意見も示唆。「所得から支出へのプラスの循環のメカニズムが崩れるようなことがあればちゅうちょなく追加緩和が必要。執行部もそのようにみている」と述べた。「2%達成が危うい状況なら緩和するし、そのような状況でなければしない」と説明した。

原田委員は大規模な量的緩和を主張するリフレ派の代表的な論客。日銀は9月の金融政策決定会合で金融緩和の主要な目安を従来の「量」から「金利」にシフトした。大幅な政策転換に賛成した経緯について、過度にフラット化したイールドカーブの是正や緩和限界懸念の払拭など、政策転換の狙いを「総合的に判断して賛成した」と説明した。「イールドカーブが異常に寝てしまっているのは、市場が正しい情報を伝えていない。ある程度スティープになるのはよいこと」と指摘した。

<2%目指すのがリフレ派、日銀・政府・全世界リフレ派>

リフレ派ならば「金利」シフトに反対すべきでなかったか、との質問に対して、「デフレから脱却して日本経済を成長軌道に乗せるため2%のインフレ目標を目指すと考えることがリフレ派だ」と反論。

2%達成手段をめぐり意見に相違はあっても、2%目標を掲げている限り「日銀も政府も全員リフレ派」「先進国、多くの途上国も2%目標を掲げており全世界もリフレ派だ」と言い切った。

「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の導入で、従来年間80兆円としていた国債買い入れが変動することへの受け止めについて、「輸出急減など経済にネガティブなショックで(長期)金利が(目標のゼロ%から)下がる場合は、買い入れを減額すれば金融引き締めになるので、金利が下がってもそのままにしておくべき」と述べた。

英ポンドの下落について「日本経済に与える影響は基本的にはない」と述べた。「ポンド下落で円が安全通貨として買われる可能性があるが、現在そのようにはなっていない」と指摘した。「なぜポンド下落で円が安全通貨とされるかよくわからない」「マーケットでは、日本は財政赤字が大変だから円は暴落するとの見方もあり矛盾している」と付け加えた。

*内容を追加します。

(竹本能文)