[東京 13日 ロイター] - 日銀は31日─11月1日に開く金融政策決定会合で、2017年度物価見通しを従来の前年比1.7%(生鮮除く消費者物価指数、コアCPI)から小幅下方修正する方向だ。複数の関係筋によると、企業による値上げの動きが日銀想定よりも鈍いため。ただ、実体経済は緩やかに回復する基調を維持しているとの見方が大勢で、追加緩和には慎重な声が多い。

日銀は年8回開く決定会合のうち1、4、7、10月の4会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、金融政策を決める9人の政策委員による向こう2−3年の経済・物価見通しを示す。

前回7月に公表したコアCPIの政策委員見通しの中央値は、16年度を0.1%(4月見通しは0.5%)に引き下げ、17年度は1.7%、18年度は1.9%に据え置いた。

しかし、足元のコアCPIは7、8月ともにマイナス0.5%に低迷。想定よりも下振れて推移している。

コアCPIからエネルギー関連も除いた「日銀版コアコアCPI」も、7月がプラス0.5%、8月がプラス0.4%とプラス幅が縮小基調をたどっている。エネルギーの下押し要因が剥落する17年度に入っても、年度平均でコアCPIの1.7%を達成するのは難しい情勢だ。

民間エコノミストの中央値(日本経済センターESPフォーキャスト)は17年度が0.6%にとどまっている。

一方、原油価格(ドバイ産)は足元で1バレル50ドル程度に回復。日銀の想定を上回るペースで上昇してきた。

9月の金融政策決定会合で決めた新たなコミットメントも、先行きの予想インフレ率をサポートするとの見方があり、17年度のコアCPI見通しは、小幅の下方修正となりそうだ。

金融政策運営に関し、現時点で追加緩和が必要との声は少ない。景気は緩やかながらもプラス成長を継続しており、物価も足元はマイナス領域だが、原油価格の安定で年明け以降はマイナス幅が縮小し、プラスに転じるのがほぼ確実。労働市場も完全雇用に達しつつあるというのが日銀の見立てだ。

原田泰審議委員は12日に「物価の上昇が現在後ずれしているのは事実」とし、展望リポートも「そのような見通しになるだろう」と述べた。同時に「雇用情勢の改善トレンドが続いており、今時点であれば追加緩和は必要ないかもしれない」と指摘した。

ただ、日銀は急激な円高・株安など景気・物価シナリオを狂わせるリスクが生じれば、追加緩和も辞さない姿勢を維持している。

9月に日銀は金融緩和の程度を主として「量」から「金利」で測る「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)」を導入。

マイナス金利を深掘りする場合は、金融機関・年金・保険などへの影響も踏まえて必要の是非を判断する。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)