[東京 18日 ロイター] - 10月のロイター企業調査によると、日銀が9月に導入した金融政策の新しい枠組みについて、自社の投資活動や物価上昇には、ほとんど効果がないとの回答が8割以上を占めた。金融政策に実体経済を改善する力はないという手詰まり感が企業の間に広がっている。米大統領選挙については、トランプ氏が大統領になれば米国での事業環境の悪化や対米投資意欲の減退につながるとの見方が4月調査に比べ増えた。

この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に9月28日─10月12日に実施した。回答社数は255社程度。

<物価2%目標、3年以内に達成できずが7割超>

日銀は新たな枠組みの下で、金融政策の軸足をマネーの量から金利に移し、イールドカーブコントロールを導入、金融緩和を継続する姿勢を示した。

この枠組みに経済的効果があるとみる企業は少数派だ。日本経済全体への効果について「かなり効果がある」は0%、「やや効果がある」が33%だったのに対し、「あまり効果はない」が60%、「全く効果はない」が7%となった。自社の投資活動にも「影響はない」が82%と大勢。さらに「投資を積極化する」企業が6%だったのに対し、「投資を慎重化する」企業が12%となった。

物価上昇への効果は「ある」が15%、「ほとんどない」が85%と、効果を見込む声は少なく、2%の物価目標の達成についても「3年以内に達成可能」との見方は27%にとどまった。達成は「3年後以降」が47%、「達成は不可能」との見方も25%を占めた。

企業からは「イールドカーブを立てないと将来にわたってデフレ解消が望めないので、良い施策だと思う」(金属・一般機械)と評価する声もある。他方、もともと「投資意欲の減退でカネが動いていない」(機械)といった状況にある中で、「金融政策には手詰まり感がある」(食品)との見方も多い。「自然利子率がある程度のプラスにならなければ、経済基盤そのものがデフレ体質を継続することになり、金融政策でいくら力を注入しても、むしろ副作用が大きくなる」(電機)と、弊害を懸念する声もある。

物価目標を3年以内に達成できない、あるいは達成不可能との見方の根拠としては「デフレは人口減など構造的なもので、金融政策では解決できない」(運輸)との見方が多い。

また、いずれ物価目標が達成されたとしても「景気回復を伴う物価上昇とは限らない」(小売)、「消費活動を伴わない金利・物価の上昇は非常に危険」(ゴム)など、不安を示す声も目立つ。「ハイパーインフレにならないだろうか」(卸売)といった懸念もうかがえる。

<「トランプ大統領」なら投資や事業環境悪化、4月より増加>

新しい米大統領にトランプ氏が就任した場合、米国の事業環境が「悪化する」との見方は57%、対米投資意欲が「弱まる」との回答が63%、日本の安全保障が「弱まる」との回答が84%を占めた。いずれも同じ質問をした4月調査に比べて悪影響を懸念する回答が増えた。

他方でクリントン氏が就任した場合は、いずれの項目も現状と「あまり変わらない」との回答が8─9割を占めた。「良くなる」との回答も、4月調査と比べ横ばいもしくは、やや減少しており、企業の期待は高まっていない。

(中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)