[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米大手銀行はクレジットカード事業の顧客を増やそうと、特典の充実を競っている。顧客にとっては嬉しい限りだが、当の銀行はうまみのあるカード事業で利幅が縮みかねない。

JPモルガン・チェース<JPM.N>が新たに開始した「サファイア・リザーブ・カード」は年会費が450ドルだが、一定期間内に定められた金額以上を使うと獲得できる「サインアップボーナス」として1500ドル相当の旅行を用意するなど、特典が充実している。

サファイア・リザーブ・カードのサービス開始により、銀行間のクレジットカード顧客獲得競争は新たな段階に入った。

オッペンハイマーのアナリスト、クリス・コトウスキ氏は「国内でクレジットカード事業を展開している銀行は5行から6行だが、この中でつぶし合いになっている」と話す。

サファイア・リザーブ・カードに新規加入した顧客が次年度も、JPモルガンに利益をもたらすかどうかは分からない。顧客に最初に与える特典があまりにも大きいからだ。顧客は来年の年会費を払わずに契約を解除するかもしれないし、別のカードに乗り換えるかもしれない。

また顧客がカードのローンサービスを使わない可能性もある。クレジットカード事業の収入は4分の3がローンサービスからの金利収入が占めており、顧客がローンを利用しなければ銀行にとっては打撃になるだろう。

JPモルガンの幹部は、サファイア・リザーブ・カードは若者層からの申し込みが予想より多いと浮かれている。確かに、2000年以降に成人・社会人となった、いわゆる「ミレニアル世代」からの申し込みが多い。

JPモルガンのカード事業最高経営責任者のケビン・ワッターズ氏は「大成功を収めている」と話す。これほど人気が高まると予想していなかったため、金属製のカードの在庫があっという間に底を突き、しかたなくプラスチック製でしのいだという。

一方、コンサルタント会社ファースト・アナポリスのパートナーのジョン・グランド氏は、JPモルガンがカード事業で利益を上げるには、顧客の支出、年間の特典、ローンなどが適切に組み合わさる必要があると話す。

しかしJPモルガンのマリアン・レーク最高財務責任者(CFO)は14日、決算発表後の会見で、自行が顧客にどの程度のカード債務を借り入れてもらう必要があるかについては言及せず、「事業の詳細については明らかにしないが、当社はさまざまなカード商品で豊富な経験を積んでいる」と述べるにとどめた。

JPモルガンと同様にカード事業に熱心な米銀はシティグループ<C.N>。シティグループは昨年、会員制倉庫型ストアのコストコ・ホールセール<COST.O>とカード事業で提携した。

シティグループが14日発表したところによると、コストコとの提携で直近の四半期のカードの利用額は前年同期から57%増えて730億ドルに達したという。JPモルガンのカード利用額は10%増の1390億ドルだった。

(David Henry記者)