[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米製薬・バイオ医薬品セクターは、トランプ次期米政権が打ち出す政策次第で波乱に見舞われる可能性がある。トランプ氏は11日の会見で、医薬品価格の高さをやり玉に挙げて、業界は「殺人」の罪を犯しながら罰せられていないと痛烈に批判した。

大統領選を通じて争点となった薬価問題がしばらく消えそうにないことが示された。

それでもこのセクターの投資家は、多額の配当やバリュエーションの妥当さ、新製品への期待といった材料を頼りに株式保有を継続する構えだ。

マトリックス・アセット・アドバイザーズのデービッド・カッツ最高投資責任者は「製薬会社は膨大なキャッシュを生み出し、それを非常に高い配当として提供している。バリュエーションは他の多くのセクターよりも適切だ」と述べた。同社はメルク<MRK.N>、ファイザー<PFE.N>、アッヴィ<ABBV.N>、ギリアド<GILD.O>といった銘柄を保有している。

カッツ氏は薬価問題について「われわれがその存在を認識し、心配しているのは間違いない。だが最終的には事態を乗り切ると考えている」と語り、株価水準があまりに低過ぎる点も指摘した。

トムソン・ロイター・データストリームによると、S&P総合500種企業は全体として過去のバリュエーションよりもずっと高い水準で推移しているが、製薬株<.SPLRCCARD>の向こう12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は直近が14.8倍で、過去3年平均の16.4倍を下回っている。

C型肝炎治療薬の販売不振という問題も抱えているギリアドの場合PERは約7倍、アムジェン<AMGN.O>は12.5倍だ。

メルクはここ2日間、がん治療薬「キートルーダ」を巡る好材料が出たため株価が上昇してPERは16.3倍となったものの、S&P総合500種の17倍よりは低い。

大手製薬やいくつかのバイオ医薬品会社は、かなりの配当も支払っている。セクター全体の配当利回りは2.85%で、S&P総合500種の2.4%を上回り、同じく高配当銘柄を含む主要消費財<.SPLRCS>の2.83%をわずかにしのいでいる。

投資顧問会社バール・アンド・ゲイナーのポートフォリオマネジャー、ジョージ・ストリートマン氏は、製薬メーカーには長年多くの配当を支払い、配当額を定期的に引き上げてきた実績があると強調。「市場は株式を保有するべき強固な理由としてこの点に目を向けている」と話した。

バール・アンド・ゲイナーはアッヴィとメルクを保有。それぞれの配当利回りは4.2%と3.1%だ。

中小の製薬・バイオ医薬品会社はそれほどの配当を提供しておらず、薬価問題に絡む株価押し下げ圧力が高まっても、持ちこたえられる余地は小さい。

それでもオークブルック・インベストメンツのピーター・ジャンコフスキス共同最高投資責任者は、多くの銘柄が極端に値下がりしている点を挙げて、製薬とバイオ医薬品に対して先行きを「非常に楽観している」と述べた。

(Lewis Krauskopf記者)