[アンカラ/イスタンブール 12日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は12日、リラの対ドル相場が前日に過去最安値を更新したことを受け、投機的な動きから通貨を防衛するために国民が結集するよう訴えるとともに、中央銀行に適切な対応を求めた。

エルドアン氏は「投機筋は為替レートを武器にしてトルコ国家を転覆しようとしている。もちろんわれわれは問題を抱えているが、そうした面ではリラの現在のレートはまったく説明がつかない」などと発言。昨年7月のクーデター未遂事件で人々が戦車を阻止するために街頭に繰り出した状況を引き合いに、今こそ国民的な運動の形で外貨を売って投機筋に対抗するべきだと強調した。

トルコの政治・経済を巡る不透明感を背景に、リラは対ドルで年初から最大10%下落し、主要通貨で値動きが最もさえない。クーデター未遂事件以降の下落率はほぼ25%に達している。

エコノミストは、さらなるリラ安を防ぐには中銀が大幅な利上げに動く必要があるとみている。しかしエルドアン氏や政府が景気減速を食い止めることを専一に考え、投資促進のための借り入れコスト低下を強く望んでいる以上、中銀としても利上げに踏み切れないでいる。

それでもエルドアン氏は「為替レートに関する投機には広がりがないことは明白だ。中銀や他の銀行はこのゲームを阻止しなければならない。中銀にはそのために必要な手段と実行する能力がある」と期待を示した。

中銀はこの日、短期市場における金融調節を通じて金利を高めに誘導し、リラ売り圧力は多少和らいだ。

HSBCアセット・マネジメントのストラテジスト、イブラヒム・アクソイ氏は「中銀は流動性手段を使って、政策金利を動かさずに市場金利を引き上げようとしている」と指摘した。

リラは11日に付けた最安値の1ドル=3.9417リラから、3.7897リラまで持ち直した。ただ、これはトランプ次期米大統領の会見に対する失望感を受けたドル安の流れに助けられた面もあった。

TDセキュリティーズの新興市場戦略責任者クリスチャン・マッジオ氏は「全般的な市場環境と中銀の引き締め的な金融調節のおかげで、リラは当面一息つけるかもしれない。だが構造的、長期的な要素は何もない。中銀が大幅な利上げを決断するまでリラが極端に弱くなりやすい展開は続くだろう」と述べた。