外務省は2016年度の外交文書を一般公開した。 今回公開された沖縄関係文書は1冊。これまでの最少規模だが、米国の沖縄統治に対する日本政府の姿勢がうかがえる。 日米は1965年、沖縄への経済援助額を話し合う「日米協議委員会」の機能を拡大した。その際、米国による沖縄統治に影響を与える議論はしないという極秘の覚書を作成していたことが今回、明らかになった。機能拡大に期待する沖縄側を裏切り、沖縄の施政権に執着する米側の意図が表れている。 日米協議委員会には沖縄の代表が出席していないので、沖縄をめぐる秘密の話ができる。辺野古新基地を巡る日米協議にも引き継がれている可能性がある。 極秘の覚書は日米で合意した協議内容しか新聞発表せず、それ以外は機密とすることも求めている。都合の悪い合意を非公表にするやり方は、過去に公開された外交文書でも共通している。 公開の仕方も問題だ。昨年の外交文書公開で、日米協議委員会の第14回から21回までの資料が含まれていたが、第18回だけ公開されなかった。今回、ようやく第18回の資料が公開された。 外交文書は結論に行き着く過程が大切だ。連続性に欠ける公開によって、閲覧者の理解を妨げることになる。改善を求めたい。 第18回協議委員会は、日本政府の対沖縄援助計画のほかに、米軍削減による基地労働者の大量解雇問題が話し合われていた。外交ルートを通じて、米軍による直接雇用から間接雇用への切り替えを検討することで合意した。 この合意についてマイヤー駐日米大使は「米議会筋等を不必要に刺激しないように配慮することが肝要」と述べ、一切外部に公開しないよう求めた。結局、新聞発表を見合わせた。非公表の体質は一貫している。 外交記録の公開は2010年から始まった。初年の10年は37冊が公開され、日米安保条約改定記録関連8冊、沖縄返還交渉関連29冊だった。昨年は沖縄関係は6冊公開された。 外務省は中核となる部分は既に公開済みとしているが、155冊は未公開だ。公文書の公開は国民の知る権利を保障し、政府の説明責任を果たすことにつながる。政府は恣意的な判断を差し挟まず、全ての外交文書を公開すべきだ。