健康関連事業を手がける関西の企業や自治体などでつくる健康科学ビジネス推進機構(大阪市)と大阪府和泉市、同府高石市などは23日、大腸がん検診の受診率向上に向けた実証事業について協定を結んだ。民間の資金とノウハウを活用し、成果を挙げた場合のみ報酬を支払う「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」の仕組みの来年度採用を目指す。

 大腸がんは早期治療での生存率が高いが、大阪府の大腸がん検診受診率(40〜69歳)は29・8%(平成25年)で、全国最下位。今回の事業では、がん検診受診率向上の事業を全国展開するキャンサースキャン(東京)が両市から事業を受託し来月、受診を勧めるリーフレットを住民に送る。

 今年度は実証事業のため、受診率が向上しても両市からの成功報酬支払いはなく、日本財団が資金提供。同推進機構が団体間の調整を担う。受診率が向上すれば来年度から民間資金を募り、SIBによる事業に移行する。

 SIBでは、受託企業・団体が目標を達成できれば自治体側は医療費削減などのメリットが期待でき、達成できなかった場合でも報酬の支払いが不要で財政負担のリスクはない。このため兵庫県尼崎市が生活保護世帯の若者の就労支援で実証事業を始めるなど、各地でSIB導入の検討が進む。

 一方、パナソニックヘルスケアやロート製薬などで構成する同推進機構にとっても、健康科学ビジネスの創出のために受診率向上は有効だ。SIBの受託側は資金提供者を募ることで事業のリスクを低減できる。

 大阪市内で協定書に署名した同推進機構の阿部孝次代表理事は「関西全体に広がりを持たせたい」と意欲を示した。和泉市の辻宏康市長は「民間の知恵に期待したい」、高石市の阪口伸六市長は「全国に情報発信できる」と述べた。