加工食品などで「食塩相当量」の表示が増えている。昨年4月施行の新しい食品表示法を受け、従来の「ナトリウム」の表示から切り替えたものだ。まだナトリウムだけの表示や表示のないものも多いが、一目で塩分量が分かる表示に、減塩への活用が期待されている。(平沢裕子)

 ◆誤認で過剰摂取?

 新しい食品表示法では一般向けの加工食品について、平成32年3月までに栄養成分表示を義務付けた。栄養成分表示は、その食品にどのような栄養成分がどの程度含まれているかを表したもの。「食塩相当量」の表示もその一つだ。

 現在、出回っている加工食品の表示は義務でなく任意だが、表示する場合は「ナトリウム(ミリグラム)」で記載するのがルールとなっていた。だが、ナトリウムは食塩に含まれる成分の一部にすぎず、「ナトリウム量=塩分量」ではない。ナトリウムの量を塩分量ととらえてしまうと、実際に摂取する量が増えてしまう。このため、新しい食品表示法では、ナトリウム量でなく、「食塩相当量(グラム)」の表示を義務付けた。

 塩分量の表示を食塩相当量とすることは、日本高血圧学会が消費者庁や厚生労働省に要望していた。通常、減塩目標は食塩相当量で示され、医療機関などでは、それに合わせて栄養指導が行われる。ナトリウム表示では、ナトリウム量から食塩相当量に換算する必要があり、分かりにくいとの声が多かった。同学会減塩委員会委員長で、製鉄記念八幡病院の土橋卓也院長は「消費者が自ら換算するのは事実上困難。ナトリウム量を食塩相当量と誤認すると、かえって食塩の過剰摂取につながるおそれがある」と指摘する。

 実際、消費者庁が26年、6千人を対象に実施した栄養表示に関する調査では、ナトリウム1千ミリグラム(1グラム)を同量の食塩相当量と誤認していた人は62・7%に上り、正解(2・5グラム)は3・9%しかいなかった。

 塩分の取り過ぎは高血圧の原因となり、脳梗塞や心筋梗塞など心血管疾患となるリスクを高める。健康のために国が目標とする食塩摂取量は、成人で1日当たり男性が8グラム未満、女性が同7グラム未満。しかし、26年の国民健康・栄養調査では男性の摂取量は1日当たり10・9グラム、女性は同9・2グラムといずれも目標を上回っている。土橋院長は「減塩には、食品から取る食塩量を適切に把握できる環境が必要。食塩相当量が表示されることで、減塩への意識も高まるのでは」と期待を寄せる。

 ◆店頭では徐々に

 現在は移行措置期間で、食塩相当量は任意表示だが、店頭では表示された食品が増え始めている。

 流通大手のイオンはプライベートブランド(自主企画商品)全てで食塩相当量を表示。広報担当者は「ナトリウム表示だけのときは塩分量の問い合わせが多く、両方を表示するようにした」と説明する。

 食品メーカーの永谷園も10年以上前から即席みそ汁などに食塩相当量を表示。広報担当者は「みそ汁の塩分を気にする方が多い。減塩商品も増やしている」とする。

 一方、漬物や珍味など塩分が比較的多い食品で、従来のナトリウムだけの表示や表示がないものも多い。

 ◆購入前にチェック

 食塩相当量の表示が増えても、活用しなければ意味がない。表示される食塩相当量は、食品によって1袋当たりだったり1食分だったりする。みその場合、みそ汁1杯当たりで表示されているものが多いが、調理する人のさじ加減によって1杯当たりの量は違ってくる。

 減塩食に詳しい管理栄養士の荒牧麻子さんは「まずは表示の1杯当たりの量でみそ汁を作り、味を確認するといい。しょうゆやみそなど基本の調味料も、メーカーやタイプによって塩分量が違う。表示をチェックし、自分が利用しているものにどの程度の塩分が含まれているかを知ることが大事」と話している。