近年の猫ブームの中、迷惑な存在になりかねない野良猫に手術を施し、繁殖を抑える試みは各地で広がっている。手術だけでなく、近隣住民らが“飼い主未満”の立場で毎日餌などの世話もする「地域猫」として共存していく例も多く、地域猫は「外飼いの飼い猫」(自治体関係者)とも位置付けられている。一方で、こうした活動を進める地域では、「捨て猫を誘発する」といった懸念の声も寄せられている。

 千葉県浦安市は昨年11月、市民が世話をしている野良猫(地域猫)の個体情報を登録するスマートフォンの無料アプリ「ニャンだぁ!らんど」の運用を始めた。市内各地にいる猫の画像や性別、去勢・避妊手術を受けたか否かなどを確認できるもので、市によると、登録は現在約550匹に及び、約3500人がダウンロードしている。自治体によるこうしたアプリは全国初の試みという。

 これらの猫はいずれも、180人以上の「地域猫愛護員」が日々餌やトイレ、去勢・避妊手術などの面倒をみている。

 アプリの開始にあたっては、猫がいる場所が明らかになることに伴ういたずらや、捨て猫の誘発を心配する声も市外から寄せられたが、開始後に問題は起きていないという。担当課は「将来的には、飼いたい人への橋渡しにつながるなどすれば理想だ」と話す。

 また、埼玉県では平成24年度から、一代限りで飼育する地域猫活動を推奨している。モデル地域を設定して活動する市町村に年40万円の活動経費を3年間補助する事業を行ったが、28年度までの利用は13市町にとどまった。

 自治体側が避妊手術や餌の管理で自治会や動物愛護団体の協力を得る必要があり、組織づくりが困難だったことが背景にあるとみられ、県は新年度から条件を緩和する方針。野良猫が自治体内の複数地域で問題化している場合に、地域を広域化しても対象にすることなどを検討している。

 環境省によると、猫の殺処分数は年々減少傾向にあり、27年度は6万7000匹余りとなっている。