健康診断などで不整脈と指摘されたことのある人は多いのでは? 不整脈は健康な人でも起こるが、突然死の引き金になったり脳梗塞の原因になったりすることがある。健診で指摘された人はまずは専門医にきちんと診断してもらい、自分のタイプにあった対策をとることが勧められる。(平沢裕子)

命取りとなることも

 心臓は通常、1分間に60〜80回の規則的なリズムで拍動を繰り返しているが、このリズムが不規則になった状態を不整脈と呼ぶ。杏林大医学部付属病院循環器内科の副島京子教授は「不整脈の症状や体に与える影響はいろいろ。多くの不整脈は治療する必要のない軽いものだが、中には命にかかわったり重い後遺症となったりする危険なものがある」と指摘する。

 不整脈は大きく分けると、脈拍が速くなる「頻脈」と、遅くなる「徐脈」、さらに脈が飛ぶ「期外収縮」がある。頻脈になるとドキドキと動悸(どうき)がし、動悸が強くなると心臓が十分な血液を送り出せなくなり、吐き気や冷や汗が出たり、意識が遠くなったりする。逆に徐脈が続くと、体を動かすときに息切れするようになり、極端に遅くなるとめまいがしたり意識がなくなって倒れたりする。

怖い「心室細動」

 心臓は、右心房▽左心房▽右心室▽左心室−の4つの部屋に分かれる。特に危険な不整脈は左心室で起きる「心室細動」で、左心室が細かく震えて心臓が機能を失い死に至る。心臓突然死の大半の原因が心室細動だ。

 心室細動は、健康診断や心電図で異常がないケースでも起こることがある。12日に開催された名古屋ウィメンズマラソンなどに参加した20〜40代の女性3人が一時心肺停止状態になり、うち2人が心室細動が原因だった。いずれも自動体外式除細動器(AED)を使うなどして意識を取り戻し、命に別条はなかった。

 心室細動とみられる発作を起こした人をみかけたら、そばにいる人は心臓マッサージや人工呼吸を行い、一刻も早く救急車を呼ぶこと。AEDがある場合は、一分でも早く使用することが生存率の上昇につながる。居合わせた人による迅速な対応が命を救うことになるのだ。

抗凝固薬で予防も

 一方、左心房で起こる「心房細動」は、脳梗塞を引き起こす危険がある。心房細動になると血栓(血の塊)ができやすくなり、この血栓が血液の流れに乗って脳へと運ばれ、脳動脈の途中で詰まってしまうためだ。

 元巨人軍監督の長嶋茂雄さんや元サッカー日本代表監督のイビチャ・オシムさんなどが心房細動が原因の脳梗塞に襲われたことはよく知られている。

 心房細動が原因の脳梗塞は、他の原因で起こる場合に比べて重症で、死亡率も、寝たきりになる確率も高い。血液を固まりにくくする薬を飲むことで予防が可能だが、心房細動があっても半数以上は症状がなく、適切な治療を受けていない人が多い。日本脳卒中協会と日本不整脈心電学会は、共同で作るサイト「心房細動週間」で、自覚症状のない心房細動をみつけるのに、定期的に自分の脈を調べたり、心電図検査を受けたりすることを勧めている。

 副島教授は「心房細動は心電図で診断できる。健診などで不整脈を指摘された人は、心臓の専門医を受診し、治療が必要か確認してほしい」と話している。