山梨県警は12日、平成28年の山岳遭難件数が149件、遭難者数が160人に達し、いずれも統計が残る昭和40年以降で最悪となったと発表した。遭難者のうち25人が死亡した。年明け以降も、富士山で滑落が続くなど、すでに8件8人の遭難事故が発生。このうち3人が死亡している。県警は例年、1月下旬に発表していたが、冬山登山への注意を強く呼びかけようと、約2週間前倒しで記者会見した。

 昨年の遭難は、件数で最悪だった25年(113件)の約1・4倍、遭難者数でも最多だった昭和50年(135人)の約1・2倍と極端に増えている。

 細入浩幸生活安全部長は、遭難事故の急増について「登山者自体が増えているわけではなく、はっきりした理由は分からないが、登山ブームが背景にありそうだ」と述べた。

 県警は主な原因として、技術・体力不足▽装備不十分▽知識・経験不足▽無理な計画▽天候の判断が不適切−の5つをあげた。その上で「登山届けを必ず出し、自分の技術で登れる山か見極めてほしい。当日の天候を改めて確認し、慎重な判断をお願いしたい」としている。

 救助隊で活動する県警地域課の望月貞救助係長は取材に対し、「ヘリは万能ではなく、風や天気の影響で行けなくなることもある。『呼べば助けてもらえる』という考えで登るのではなく、準備をしっかりしてほしい。経験が豊富でも、気の緩みで最悪のケースを迎えることもある。冬は格段に危険だ」と注意を促した。

 県警によると、遭難者の9割以上にあたる148人が県外から来訪。東京が55人と最も多く、神奈川29人、埼玉8人など首都圏からの登山者が多かった。

 山系別では、最多は南アルプス58件(前年比10件増)。次いで秩父36件(同17件増)、富士山18件(同10件増)、大菩薩・道志18件(同1件増)、御坂13件(同4件増)、八ケ岳6件(前年と同じ)だった。