料理もスマートフォンに教わる時代!? 動画技術の進化と普及で、料理動画サイトが続々誕生している。ジュワーッと火が通るシズル感、手順が頭に入りやすいことが魅力だ。SNS(インスタグラムなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発達した現代、“インスタ映え”する新メニューをアップしたい、女心をくすぐっている。(重松明子、写真も)

現代の家庭料理に必須の「時短」

 「めちゃキレイ。女子力高っ!」。盛りつけに歓声があがった。

 料理動画サイト「mogoo(もぐー)」が昨年12月、東京都内で開いた料理教室。200人以上の応募から当選した17人の女性ユーザーが、クリスマスメニューに励んでいた。ツリー形のポテトサラダ、マグロや卵をカラフルな星に見立てた寿司、食パン活用のフルーツケーキ…。手順は簡単だが見栄えのするごちそうに、カシャカシャとスマホのシャッター音が響く。即日、この模様を14人がSNSにアップし、宣伝効果も計り知れない。

 mogooは平成27年9月にレシピ動画の配信を始め、月間延べ1000万人が閲覧している。料理教室は昨年10月から月2、3回ペースで開催。参加費無料で、サイト側には開催場所や食材・人件費などのコストがかかる。「それでも、利用者と直に会える絶好の機会。競合サイトが増える中、独自にファンを育てていかないと。ユーザー個々の発信力にも期待している」と運営会社スタートアウツの板本拓也社長(25)。

 4年前に大阪大学を休学して上京、動画メディア会社を起業した。料理レシピに着目したのは、「女性の作る料理が『女子力高い私』をアピールするツールになっているから」。クールな分析が今時の男子らしい。それとともに、「現代の家庭料理に『時短』は必須。文章レシピに比べ、動画は料理を短時間で簡潔に伝えられる特性がある。30秒動画で、調理時間10〜20分のメニューを中心に紹介しています」。管理栄養士などが考案した新レシピを毎日更新しており、現在600種以上を配信。ユーザーの9割以上がスマホでの視聴だ。

火加減や包丁の入れ方も明瞭

 「帰りの電車の中で今晩何を作ろうかと動画を見ると、体験した感覚で流れが頭に入り、スムーズに調理に取りかかれます」とは、4歳の双子の母で、東京都杉並区の会社員(32)。インスタグラマーでもあり、食器や盛りつけにも凝った毎日の食卓をアップ。5万人以上のフォロワーを持っている。

 川崎市の専業主婦(27)も「夫と私のふたりごはん」を公開するインスタグラマーで、2万人近いフォロワーがいる。動画レシピの利用は「レパートリーを増やしたくて」始めた。「動画ならば、静止画では伝わりにくい火加減や包丁の入れ方なども明瞭。料理が苦手な友人にも薦めています」

 国内の料理動画サイトは主なもので7つほど。月間6000万人が利用するレシピサイト最大手「クックパッド」でも、2年半前から動画を配信している。一般投稿の「めんつゆで簡単 筑前煮」が200件以上の調理報告を集めるなど、家庭の味の簡略化と不特定多数との共有化がうかがえる。

 昨年11月の結婚を機に「完璧料理」と話題沸騰した、女優、木村文乃さんがインスタグラムに投稿する「ふみ飯」も一汁二菜の質素な和食が中心だ。堅実な手料理が見直されるなら、女子力アピールも大いに結構なことだと思う。