兵庫県川西市で平成25年に肥後恭子さん=当時(25)=が集団生活していた5人に暴行され死亡した事件で、神戸地検は13日、新たに逮捕された4人のうち田口恵子容疑者(32)ら3人を傷害致死罪で起訴、無職少年(17)を傷害致死の非行内容で神戸家裁に送致した。集団のリーダーとされる田口被告は暴力と金でメンバーを支配する一方、同様に“疑似家族”の中で起きた兵庫県尼崎市の連続変死事件とは異なり、集団を離脱しても制裁することはなかったという。集団内に他の行方不明者はおらず、兵庫県警の捜査は終結した。

 他に起訴されたのは、肥後さんの元夫の弟で、田口被告と内縁関係にある下地道嗣被告(34)と、無職少年の兄で、道嗣被告と養子縁組している下地貴(たか)慎(のり)被告(25)。

 田口被告は時にメンバーに見せしめの暴力を振るいながら、家計を一括して管理。メンバーは給与や生活保護費、児童手当といった収入を全額預け、そこから小遣いをもらっていた。集団が5〜6年前には15人前後にまで拡大した理由を、捜査関係者は、「収入源を増やす狙いがあったのではないか」と推測する。

 暴力と金による支配は、23年に発覚した尼崎市の連続変死事件を想起させる。だが、捜査関係者の多くは「川西事件では、集団から逃げ出そうと思えば逃げられる環境だった」と指摘する。

 一方で肥後さんへの暴行が集団で行われていたことは、25年10月に肥後さんの兄の肥後健太郎受刑者(29)=傷害致死罪で懲役5年確定=が自供をもとに「単独犯」として逮捕された後、3年以上露見しなかった。道嗣被告が健太郎受刑者と刑務所で口止め目的とみられる面会を繰り返していたことも判明。県警は当時の捜査を「矛盾はなかった」とするが、結果的に情報が外部に漏れないほど集団の支配力が強かったとの見方もある。

 奈良女子大の岡本英生教授(犯罪心理学)は「閉ざされた空間での集団生活では、常識よりも集団内の特異なルールが優先されがちだ。今回の事件でも、集団のメンバーに外部へ助けを求めるという発想自体が生まれなかった可能性がある」としている。