モフモフの毛並みと愛嬌(あいきょう)たっぷりの表情−。和歌山城の近くにある「ホテルアバローム紀の国」(和歌山市)に15日、“犬の新入社員”が入社する。10歳になるゴールデンレトリバーの雌。偶然迷い込んだのをきっかけに、いつしかホテルのアイドル犬に。入社後はチャペルで客を迎える「チャペルアテンダー」として“勤務”する。

 名前は「グウィネス」で、愛称はグウちゃん。「世話をするとき、みんな優しい顔になるんです」と、入社後にグウちゃんの直属の上司となる松下倫也マネジャーは、尻尾を大きく振りながら身体をつついてくるグウちゃんに目を細める。

 グウちゃんは、ホテル近くに住む無職、前田実さん(85)の愛犬だ。6年前、犬の里親捜しのインターネットサイトで見つけた前田さんの長男から贈られた。

 昨年6月上旬、夜の散歩帰りに脱走し、翌朝にホテルのチャペルに迷い込んだ。ホテルのスタッフたちは総出で、エサを買いに走ったり、身体を洗ったりと、迷い犬のグウちゃんの世話をするうちに、「人なつっこくて、癒やされる」とスタッフたちはメロメロに。まもなく飼い主が前田さんと分かったが、グウちゃんを返すとき、スタッフたちに寂しさがあふれた。

 「また、会いに行っていいですか?」

 別れ際、スタッフが前田さんに思わず尋ねた一言がきっかけとなり縁がつながった。週末にはグウちゃんがホテルに来て愛嬌をふりまくようになり、チャペルを訪れたカップルからも「グウちゃんに結婚式に来てほしい」などといわれるようになったという。

 そこで、正式に“入社”することが決定。入社を前に、トリミングに通うなど身だしなみを整え、ホテルの佐藤喜久一郎総料理長が新しい“職場”となる犬小屋「グウちゃんのじむしょ」を日曜大工で作った。

 入社式を前に、結婚式に参列し、初めて会う人に慣れる研修も受けた。社員としての給料は、犬用のガムを用意しているという。

 松下マネジャーは「お客さまや結婚式のゲストの方がグウちゃんと一緒に楽しめる工夫をしていきたい」。“アイドル犬”の活躍が期待されている。