安倍晋三首相は22日(日本時間23日)、日本の首相として初めてキューバを訪問し、国家元首のラウル・カストロ国家評議会議長と会談する。安倍首相はキューバが北朝鮮と友好的な関係にあることを踏まえ、核実験と弾道ミサイルの発射を強行する北朝鮮への対応で協力を取り付けるとともに、日本人拉致被害者の帰国実現に向けても理解を求める考えだ。(ニューヨーク 石鍋圭)

 首相がキューバに期待するのは、北朝鮮が日米韓をはじめとした国際社会の自制要求を聞き入れず、無視する形で軍事的な挑発行為を続けていることが背景にある。自民党の茂木敏充政調会長も20日の日本外国特派員協会の記者会見で「北朝鮮と外交関係を持っている国からしっかりと働きかけをしていくことが重要だ。その中の一つがキューバだ」と指摘し、キューバの役割に期待感を示した。

 安倍首相は、カストロ氏との会談で経済分野の協力も打ち出す。キューバは昨年7月、米国と54年ぶりに国交を回復し、各国が観光・天然資源に恵まれたキューバとの関係強化に乗り出している。安倍首相の訪問に先立って両政府は19日、キューバの対日債務約1800億円のうち約1200億円を日本が免除することで合意した。キューバは鉱物や観光資源などが豊富な一方、社会資本は著しく不足しており、将来的な開発需要は大きい。首相はキューバに対する経済支援策を表明し、経済分野での結びつきも強める方針だ。

 首相は22日午前(同22日夜)、米ニューヨークでの国連総会出席など一連の日程を終え、キューバに向けて政府専用機でケネディ国際空港を出発した。キューバでは、ラウル氏の兄でキューバ革命のカリスマ的指導者、フィデル・カストロ前議長と会談する可能性もある。