岸田文雄外相は13日の記者会見で、日本が議長国として年内開催を目指す日中韓首脳会談について、韓国・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像の問題とは切り離して調整を進める考えを示した。日本政府は慰安婦像設置に対し、長嶺安政駐韓大使らの一時帰国など強硬な対抗措置に出ているが、効果を弱める恐れもある。

 「日中韓サミットは3カ国の協力枠組みだ。慰安婦の少女像の問題と関連付ける考えはない」

 岸田氏は13日の会見で、慰安婦像という日韓2国間の問題を、日中韓3国間に持ち込むべきではないとの認識を強調。「本年のしかるべき時期に開催すべく調整を続けたい」と述べた。

 日中韓首脳会談をめぐっては日本政府は、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾訴追されて職務停止となったことから昨年中の開催を断念したが、今年に入ってからも早期実現を目指す姿勢を崩していない。北朝鮮の核・ミサイル開発や自由貿易協定(FTA)交渉など3カ国の課題が山積していることも背景にある。

 だが、韓国はこれまで、2国間問題を日中韓に絡めて対日カードとしてきた。平成25年から議長国だった韓国は、慰安婦問題をめぐる日韓対立を背景に3カ国首脳会談の実現を先延ばしし、この間に中韓首脳会談を頻繁に行うことで日本の“孤立”を演出。一昨年11月に約3年半ぶりの日中韓首脳会談が行われた直前も、条件として安倍晋三首相が慰安婦問題で謝罪姿勢を表明するよう求めた。

 安倍首相は対抗措置発動後、「韓国に誠意を示してもらわないといけない」と発言しているが、慰安婦像撤去に向けた韓国政府の動きは鈍い。このタイミングで日本政府が日中韓首脳会談に向け動き出せば、慰安婦像をめぐる日本側の「不快感」を韓国側が軽視する可能性も否定できない。

 長嶺氏らの早期帰任を模索する動きもある。外務省幹部は13日に自民党本部を訪れ、二階俊博幹事長ら党幹部と協議。協議終了後、出席者は「(外務省幹部が)長嶺氏を早めに帰して韓国と交渉した方がよいという方向で考えていると報告した」と説明する。

 長嶺氏らの処遇に関しては、二階氏も早期帰任が望ましいとの見解を示している。ただ、首相官邸には一時帰国の長期化も覚悟すべきだとの声が根強く、政府・与党のちぐはぐな対応が目立っている。