ロシアとの北方領土交渉を前進させるきっかけにしたい日本に対し、ウクライナ・クリミア半島併合以降の国際的孤立から脱する手立てとしたいロシア−。3年4カ月ぶりに開催された20日の日露外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)は、両政府がそれぞれの思惑を抱えて臨んだ。だが、双方を近づけるのに必要な戦略的利益の共有は難しいことが、改めて浮き彫りになった。

 「2プラス2を開催することはロシアと日本との関係を新しい次元に引き上げることを示している」

 ラブロフ露外相は協議の冒頭、こう述べて2プラス2再開の意義を強調した。クリミア併合に対する制裁に参加する日本との関係が「新しい次元」に入ったことを示し、なお強硬姿勢を崩さない欧州諸国を牽制したい意図がうかがえる。

 2プラス2の再開は、露側の要望を受け入れる形で実現した。日本政府は対露制裁が継続する中で主要7カ国(G7)の足並みを乱すことを懸念してきたが、北方領土の共同経済活動に合意した昨年12月の首脳会談で再開に同意した。

 背景には、北方領土問題を進展させるには日露間で戦略的利益を共有することが不可欠との認識がある。昨年12月に来日したプーチン露大統領は記者会見で、露ウラジオストクなどの海軍基地から艦艇が太平洋に出入りしていることにわざわざ言及。艦艇の通り道に位置する北方領土の軍事的価値を強調した。

 そこで日本が強調したのが、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、日露が連携する必要性だ。

 2プラス2では、岸田文雄外相と稲田朋美防衛相がそろって北朝鮮を名指しして批判した。しかし、露側は挑発行為自制を求める立場で一致したものの、北朝鮮の脅威に対処する在日米軍などの弾道ミサイル防衛(BMD)システムに懸念を表明。ラブロフ氏は「米軍のBMDは、北朝鮮のミサイルの脅威と釣り合いが取れていない」と述べた。

 一方、日本側は、軍拡を続ける中国の存在も日露連携を促し得ると見る。ロシアは自国の「裏庭」と位置づける北極海航路に中国が進出していることを警戒している。日本側としては、中国と戦略的パートナーシップを結ぶロシアが「中国一辺倒にならないようにしなければならない」(政府高官)との計算も働く。

 だが、露側は、ショイグ国防相が稲田氏との会談で北極海航路について言及したものの、中国について直接言及しなかった。2プラス2では、岸田、稲田両氏が南シナ海での一方的な基地建設を進める中国に懸念を示したが、露側から反応はなかった。

 「アジア太平洋地域における安全保障に関し、残念ながらブロック主義的なアプローチが残っている」

 協議の席上、ラブロフ氏はこう述べた。「ブロック主義」として念頭にあったのは日米同盟とみられ、日露間の埋めがたい溝をうかがわせた。

(杉本康士、小野晋史)