【ワシントン=加納宏幸】トランプ次期米大統領が指名した外交・安全保障担当閣僚の指名承認公聴会で、ロシアとの関係などをめぐってトランプ氏と閣僚候補の戦略上の「違い」があらわになった。トランプ氏がプーチン露大統領との間で関係改善を目指す考えを強調しているのに対し、閣僚候補らはいずれもプーチン氏への警戒感を表明した。20日の大統領就任式まで1週間。トランプ氏が就任演説でどのような外交方針を打ち出すかが注目される。

 「ロシアはいくつかの前線で重大な懸念を引き起こしている」。トランプ氏が国防長官に指名したマティス元中央軍司令官は12日、上院軍事委員会の指名承認公聴会でロシアへの強い警戒感を示した。

 トランプ氏は11日の記者会見で、プーチン氏とオバマ政権下で悪化した米露関係を改善することへの強い意欲をみせていたが、マティス氏はロシアとの対話の重要性を認めながらも「プーチン氏は(欧州で)北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしている」と指摘し、プーチン氏を名指しで批判。第一の脅威にロシアを挙げた。

 マティス氏は「米軍きっての戦略家」として知られた現役時代から同盟関係の重要性を強調してきた。

 トランプ氏が国務長官に指名した米石油大手の前首脳、ティラーソン氏も11日の指名承認公聴会で、2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合に当たり、オバマ大統領がウクライナへの殺傷力のある武器支援を通じてより強硬な姿勢でロシアに当たるべきだったと主張した。

 トランプ氏は記者会見で、過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦で「ロシアは私たちの助けになる」とし、シリアへの軍事介入を強めるロシアとの協力を進める考えも表明。これに対し、中央情報局(CIA)長官に指名されたポンペオ下院議員は12日の指名承認公聴会で、ロシアが「IS掃討でほとんど助けになっていない」と指摘した。

 ポンペオ氏は、大統領選でテロ容疑者への拷問を容認する発言をしていたトランプ氏から「水責め」などの拷問を求められた場合に実施するかを問われ、「絶対にない」と答えた。