大相撲秋場所12日目(22日、両国国技館、観衆=1万816)初優勝を目指す大関豪栄道(30)は横綱鶴竜(31)を押し出し、初日から12連勝として単独首位を堅守した。横綱日馬富士(32)、新関脇高安(26)、平幕遠藤(25)はいずれも2敗をキープした。13日目に高安と遠藤にそろって土がつき、豪栄道が日馬富士戦に勝てば、豪栄道の優勝が決まる。大関照ノ富士(24)は負け越し、来場所は3度目のかど番となる。

 慎みと自重と。勝機をみるまで、無意味な動きはしない。豪栄道はあごを引き、下半身を安定させて、鶴竜の攻めにつきあった。

 「我慢した。気持ちは集中できていた。(横綱は)突っ張り、張り手、いなし、なんでもあるから」

 立ち合いではまわしを取りにいったが、突き放されると慌てずに応戦。最後まで横綱を正面に置き、相手の引き技にしっかり足を送って押し出した。

 日本相撲協会の理事で、師匠の境川親方(元小結両国)は11月の九州場所担当部長として2日目から同地へ出張。現在も滞在している。場所中、稽古場などで直接、豪栄道へ指導することができない環境のなか、同日夜からおかみさんの小林美奈子さんと電話で連絡を取り、おかみさんを経由して大関にアドバイスを送っているのだ。

 豪栄道が白星街道を駆け出したことで、境川親方は「験を担ぐ意味でも、このやり方を続けているんだ」。8日目の夜にはストレート給金を決めた豪栄道から報告の電話が入った、という。だが、直接会話をしないことにこだわった同親方は、その電話にさえ出なかった。

 豪栄道が初優勝を果たし、九州場所で2場所連続優勝をかけた綱とり に挑めば、境川親方の職務もさぞ充実することだろう。終盤戦の主役から今場所の主役へ。注目される豪栄道は「やりがいがある。振り返るのは千秋楽が終わってから」。

 最後まで豪栄道とは話したくない…。冗談のようで、それは本心。師匠は「そうなればいいな」。繊細な“親心”を無駄にしてはならない。 (奥村展也)

豪栄道について八角理事長(元横綱北勝海)「立派だ。勢いに乗っている。しっかり当たって押し込む相撲を取っている。(後続に)2差をつけているから、もちろん優勝に近づいている」

豪栄道に敗れた鶴竜「彼もかど番になって、考えるものがあったのではないか。生まれ変わって、本場所で勝っていくうちに自信がついたのだと思う」

観戦に訪れ、打ち出し後に横綱日馬富士や大関豪栄道らと記念撮影したリオ五輪柔道男子73キロ級金メダルの大野将平(24)=旭化成「見応えのある取組が多かった。四つでがっちりと組み合う相撲が大好き」