(セ・リーグ、広島1−4阪神、25回戦、広島18勝7敗、22日、マツダ)虎の神ってる弾や! 阪神のドラフト1位・高山俊外野手(23)が八回、右翼へトドメの8号2ラン。ジャンピングキャッチを試みた鈴木のグラブを弾いてスタンドに入った。2安打をマークし、1998年の坪井智哉の球団新人記録135安打まで、あと「2」。残り5試合で、24日の中日戦(ナゴヤD)にも記録更新や!

 グラブに収まりかけた白球が、ポロリとこぼれ落ちた。鯉党で真っ赤に染まったマツダスタジアムの右翼フェンス際の攻防。大飛球に飛びついた右翼・鈴木が、ガックリと肩を落とす。高山が“神ってる男”を越え、ダメ押しの8号2ランをたたき込んだ。

 「よかったです。捕られなくて」

 虎のルーキーが笑みを浮かべれば、鈴木は対照的。「球際のエラーです。グラブに入っていたので、落としてはいけない。こぼれた感じ。ホームラン(の打球)ですけど…」と悔しがった。

 振り返ったのは八回無死一塁。2番手・ジャクソンの外角直球をフルスイング。高々と舞い上がった打球に鈴木がジャンプ。アーチの“強奪”を狙ったが、寸前で白球がグラブからこぼれ落ち、スタンドイン。自身初の2戦連発でやり返した。

 「ジャクソンからずっと打てていなかった。速球にやられていたので、ちょっとバットを短く持って打席に入って、カープとの最後の試合で、とらえられてよかった」

 ここまで右腕とは対戦5打数無安打。“6度目の正直”が価値ある一撃となった。四回に北條が4号ソロで先制。六回は上本が2号ソロを放った。チームの1試合3本塁打は、5月26日のヤクルト戦(神宮)以来今季3度目だ。

 「ジョンソン(が先発)で一発攻勢で勝つというのは…ハッハッハ。ちょっと不思議な感じはしたけど。ウチらしくないけど、来年に向けて、一発で勝てるというね」

 金本監督は目尻を下げ、手応えを強調した。昨季から9戦で6勝(0敗)を献上していた先発左腕に、10度目の対戦で初めて土をつけた。おまけに指揮官が何度も口にしてきた本塁打の威力を体現しての勝利が、来季への明るい材料だ。

 新記録達成は間近だ。虎の大物新人は四回に左翼線二塁打を放ち、2安打2打点。今季133安打とした。1998年に坪井智哉(現DeNA打撃コーチ)が記録した球団新人最多の135安打まで2本。24日の中日戦(ナゴヤD)にも、新記録が生まれる。

 福留は中日入団1年目の99年に131安打。「孝介さんのような選手になりたい」と尊敬する先輩も超えた。状況別の守備位置で、何度も右翼を見てきた。前後左右への微調整。サインを決め、動きひとつで指示をくれた。「ミスを恐れず、思い切ってやれ」。その言葉に何度も勇気をもらった。背番号8愛用のバットや使用グラブを借りて練習し、その背中を追いかけてきた。

 「超えた感じはまったくないですね。少しでも(福留)孝介さんに近づけるように、次の試合もやりたい」

 残り5試合。全力で戦い続けた先に、記録更新と新人王が待っている。 (高瀬悟嗣)

★高校時代に共闘

 虎の黄金ルーキーは、鯉の“神ってる男”と同じチームで一緒に戦ったことがある。日大三高3年時の2011年。日米親善高校野球のための東京選抜チームに、二松学舎大付2年の鈴木とともに選ばれた。もっとも当時、鈴木は投手。「あまり一緒に練習したという感じはないですけどね」と振り返るが、今年7月の球宴で“再会”。距離を縮めた2人がセ・リーグを代表する選手への道を進んでいる。

データBOX

 ◎…高山は今季広島戦は23試合で打率・329、2本塁打、10打点とセ・リーグの中で最も好相性。最も相性が悪いのはDeNA戦で打率・256、2本塁打だが、17打点は最も多い ◎…高山は今季26度目のマルチ安打。うち猛打賞が13度で、これは長嶋茂雄(1958年)が持つ、プロ野球新人記録の14度に次ぐ記録 ◎…阪神の1試合3本塁打は5月26日のヤクルト戦(神宮・ゴメス、福留、原口=計3本)以来、今季3度目。昨季も3度記録