自家焙煎(ばいせん)によるコーヒーのおいしさを追求しつつ、メニューの食材は地元産、カップは備前焼と徹底した地元密着で岡山市内などにカフェを展開しているオーナーがいる。瀬戸内市邑久町尾張の木下尚之さん(35)。コーヒーと地産地消をタイアップさせ、地元活性化につなげている。 岡山市北区大供本町のカフェ「ザ・コーヒーハウス」。高さ2メートルを超える機器がひときわ目立つ。中四国地方でも数少ない米国製の高性能焙煎機。これに世界十数カ国の良質の豆が投入されていく。 サンドイッチなどで使う野菜、パンはそれぞれ近くの産直市場、パン工房から仕入れ、魚は実弟が営む瀬戸内市牛窓町の魚屋で調達。コーヒーカップの備前焼は備前市の窯元に特注している。 木下さんは2010年、瀬戸内市邑久町尾張にカフェ「キノシタショウテン」をオープンして以来、岡山市北区のリットシティビル、備前市のJR伊部駅構内に店舗を構え、15年11月にザ・コーヒーハウスの営業を開始。今年3月にリニューアルオープンした飲食とレジャーの複合施設・岡山ガーデン(旧両備ガーデン、岡山市東区)のカフェのプロデュースも手掛けた。立地条件によって店の性格は異なるが、コーヒーの味と地産地消へのこだわりは共通している。 木下さんは城東高校卒業後、1年間、英国へ語学留学。川崎市のカフェで働きながら大学受験の勉強をしていたが、コーヒーの魅力にとりつかれ、この道で生きていくことを決意。07年に古里の瀬戸内市牛窓町へUターンし開店資金をためた。 各国のコーヒー事情を視察するため毎年のように米国、台湾、タイなどを訪問。また陶器ギャラリー、自動車ディーラーなどのイベントで開かれるコーヒー教室講師として招かれ、コーヒーの入れ方や奥深さを伝えている。 こうした活躍が評価され、8月には県内の若手経営者らを顕彰する「オカヤマアワード」(実行委主催)のグルメ部門賞を受賞した。 活動のフィールドを広げる木下さんにとって経営の原点は、亡き祖母が牛窓町で営んでいた小さなたばこ屋・木下商店。カフェ1号店の名もそれに由来する。「これからも祖母のように一人一人のお客を大切にしていきたい」と初心を忘れない。