真庭市蒜山地方に伝わる郷原漆器(岡山県重要無形民俗文化財)の作品展が13日、倉敷市阿知の天満屋倉敷店4階美術画廊で始まった。美しい木目を浮き上がらせた普段使いの食器など約240点が、訪れた人々を魅了している。19日まで。 蒜山の郷原地区で室町時代から生産されてきたという郷原漆器は、庶民向けの塗り物として山陰地方を中心に普及。しかし、昭和に入り戦時下で衰退し、終戦を境に途絶した。伝統の灯をよみがえらそうと1989年、県郷土文化財団が地元と協力して再興に着手。現在は、真庭市在住の木地師や塗師らでつくる郷原漆器生産振興会(高山雅之会長)が生産を担っている。 会場では、地元産のヤマグリをろくろ挽(び)きした木地に、透き漆で木目を生かす「木地溜(きじだめ)塗り」や華やかな朱塗りを施した多彩な器を展示。再興以来の“定番”である飯椀(わん)や雑煮椀、汁椀に、大型の鉢や直径約30センチの尺皿、ぐいのみなどを加え、食卓で使う楽しさを伝えている。 蒜山で採取した「備中漆」で深みのある色合いに仕上げた飯椀と汁椀、総社市在住の漆芸家塩津容子さん(69)の漆絵で風情を加えた朱塗り皿など、表現の幅を広げた作品も注目される。 「郷原漆器は日常で使ってこそ魅力が増す器。手元に置いて自由に使ってほしい」と高山会長。郷原漆器を初めて見たという倉敷市の男性(65)は「落ち着いた木と漆の質感に温かさを感じる。食卓で使ってみたくなります」と話していた。 入場無料。午前10時〜午後7時半(最終日は午後4時まで)。