600枚の写真で福山の昭和を感じて—。高度経済成長とともに発展を遂げた昭和期の福山をテーマとした写真集「福山市の昭和」が発刊された。福山文化連盟名誉会長の土肥勲さん(91)=福山市=が監修。100近い個人・団体から提供を受けた写真を厳選し、戦後復興の歩みや市民の暮らしぶり、地域の祭りなどを生き生きと伝えている。 アルバムは「戦時下の日々」「祭りと民俗行事」などのテーマに沿った10章立てで、旧日本陸軍歩兵第41連隊による射撃訓練の様子(1935年前後)や福山空襲で焼失する前の福山城天守閣(同)などを掲載。かつて市中心部で行われていた伝統行事「とんど」が商店街を練り歩く様子を捉えた50年代から67年ごろにかけての写真も複数載せている。 巻頭カラー写真では、市出身の小説家・井伏鱒二(1898〜1993年)ら文化人が霞町のスナックで芸術談議に花を咲かせる姿を切り取った一枚(80年ごろ)も。鞆港にある階段状の船着き場・雁木(がんぎ)で作家・松本清張原作の映画「内海の輪」の撮影模様を写した写真(70年)もある。 戦時下にもかかわらず明るい表情をした女性の集合写真(43年ごろ)や、日本一のげた産地として知られる松永地区の貯木場を背に立つ少年を捉えた写真(60年ごろ)なども収められており、在りし日の福山を追体験できる。 西日本を中心に地域の郷土史を手掛ける「樹林舎」(名古屋市)が市制100周年にちなんで出版を企画、2千部限定で発行した。収録した写真には提供者からの聞き取りを基にした文章も載せている。未収録を含めて集まった写真は約2500枚に上るという。 自ら写真も提供した土肥さんは「時代ごとの福山の様子を見て、地域の歴史に思いをはせてほしい」としている。 9900円(税込み)。問い合わせは樹林舎(052—801—3144)。