経済学には「グラビティ・モデル」という理論がある。グラビティとは引力のことだが、これはある2つの国家や地域間の経済規模が大きいほど、また地理的な距離が近いほど、両者間の貿易規模は大きくなるという理論だ。

 中国メディアの今日頭条はこのほど、台湾は日本車の天下であると伝え、台湾人が日本車を偏愛する理由について論じている。その理由のなかにはグラビティ・モデルも含まれており、場合によっては中国でさえ日本車に「占領」される可能性があったと記事が説明している点だ。

 記事は台湾での新車販売台数トップ10を紹介。2014年の7位と15年の6位にフォード・フォーカスがランクインしたが、その他はすべて日本車による独占だったと説明。さらに台湾人が日本車を偏愛する理由として、台湾と日本が友好関係にあること、台湾人は実用性を重視する消費傾向にあること、日本車が優れた評価や高いコストパフォーマンスといった競争力を持つことのほかに、日本と台湾の距離が近いゆえにグラビティ・モデルが適用できるなどの点を取り上げた。

 台湾では中国のような根強い反日感情が存在しなかったため、日本車が競争力を発揮して市場を獲得したというのが記事の要点だ。一方、「大胆な仮説」としながらも、もし中国と日本に歴史問題が存在せず、中国も自力更生する力がなかったなら、日本車は中国でも席巻したであろうし、「フォルクスワーゲンに中国を席捲する隙を与えなかったはず」とも主張している。

 台湾と中国はどちらも日本から地理的に近いため、両者間の貿易にはグラビティ・モデルが適用できるが、日本車が台湾を席巻しているのに対して中国ではドイツ系の後塵を拝しているのは、まさに歴史問題が日中に存在するからということになる。経済的な「引力」とそれに逆らう憎しみのせめぎ合いが、中国自動車市場における日系車の売れ行きに反映されているとも言えよう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)