稲田朋美防衛相は15日、海上自衛隊と米海軍の共同巡航訓練を行うなど南シナ海の安定に向けた関与を強化する考えを示した。中国では稲田防衛相の発言に対して反発の声が高まっており、中国メディアの人民網は23日、中国の軍事専門家の見解として「日本は中国の関心を南シナ海に向け、東シナ海への関心を分散させるのが狙い」であると伝えた。

 記事は、稲田防衛相の発言について、一部で「中国が南シナ海問題で設定している“最後の一線”に抵触する可能性がある」との見方が浮上していることを紹介。さらに、中国の軍事専門家である李杰氏の見解として、尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題を抱えるうえに、中国が東シナ海への進出を絶えず強めていることに対して、日本は大きな懸念を抱いてきたと指摘。だからこそ、日本は南シナ海問題に関与することで中国の関心とエネルギーを南シナ海に向けさせ、東シナ海への関心を分散させようとしていると論じた。

 また、稲田防衛相の発言には、中国の西太平洋進出における南シナ海における封鎖強化の狙いもあると分析。中国が西太平洋に進出するためには第一列島線を突破する必要があるとし、列島線の北端は日米が制御できているが、南端はフィリピンの軍事力不足などによって制御が足りていないのが現実と指摘した。

 中国は自国を中心とした経済圏の構築に向けて一帯一路戦略を推し進めており、このうちの「一路」に相当するのが、中国から東南アジア、アラビア半島、アフリカを結ぶ「21世紀海上シルクロード」構想だ。記事は、「21世紀海上シルクロード」構想における中枢こそ南シナ海であり、日本は南シナ海問題に積極的に介入することで中国の構想を阻害しようとしているとの見方を示した。

 稲田防衛相が示した「南シナ海の安定に向けた関与強化」の考えについて、中国は激しく批判している。だが、南シナ海の領有権をめぐる中国の主張はオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所によって退けられており、この判断を無視する姿勢を示す中国こそ批判されて然るべきではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)