いまだに世界中の人々を惹きつけてやまない画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。

37歳で生涯をとじ、画家として活動した期間はおよそ10年。
その間にのこした作品数は、油彩900点、素描1100点といわれている。

知名度のわりに作品数が少ないこと、また「なぜ作品の署名に苗字“ゴッホ”を使わなかったのか」「胸を撃った最期は、本当に自殺だったのか」などミステリアスな部分が多いことも、彼の魅力がいまだに色あせない要因かもしれない。

雑誌『Pen』11月1日号「ゴッホ、君は誰?」(CCCメディアハウス刊)では、そんなゴッホの人物像に迫る特集が組まれている。

冒頭では、ゴッホ作品の原風景を求め、オランダとフランスを訪ねる旅を収録。弟テオや友人に綴った書簡のフレーズと、彼が実際に見たであろう風景、そして彼の絵筆が写しとった風景画などが紹介されている。

さらには、キュレーター林綾野さんの解説も。真面目ながらも破天荒で、優しくも厳しく、悲しげであり朗らかで、孤独なのに他者とのつながりを大事にした、ゴッホの複雑なる人 物像や、描くことが生きることだったという彼の生きざまを通じ、現代の自分探しをする若者たちへのメッセージを探っている。

そして、森村泰昌さんによる「自画像」、安野光雅さんによる「風景」の視点からのゴッホ 分析、ゴッホ愛好家が語る「ゴッホ愛」のページもある。

精神科医の斎藤環さんから、女優で作家の酒井若菜さん、女優の鶴田真由さん、果てはお笑い芸 人の永野さんまでが、それぞれの視点で語るゴッホ論は一読の価値ありだ。そして、冒頭で紹介した彼をめぐる「謎」に迫るコーナーもある。

ゴッホという名前は知りながら、彼の人生観や作品についてはあまり知らないという読者ほど、発見の多い一冊といえるかもしれない。
(新刊JP編集部)