「勝たせるCBになりたいと、ずっと思っていた」
 
 J1リーグ第2ステージ・12節の磐田戦で貴重な先制点を奪い、守っては敵の攻撃をシャットアウト。鹿島の昌子源は、自らが描くCBとしての理想像を端的にそう表現した。
 
 磐田戦のゴールは、自身にとって今季初得点だった。「ぶっちゃけ、点を入れていないのは、CBとして重症だと思っていた」と焦りがあったという。
 
 なかなかゴールできない状況に、「研究じゃないけど、いろんな人の(得点シーン)を見た」。そこで得た数あるヒントの中から、セットプレー時には“あまり動きすぎない”のは「案外、良さそうやな」と、磐田戦で実践。見事に結果を残し、得点パターンの引き出しを増やした。
 
 CBとしての本職を忘れずに無失点に抑え、得点も奪う。攻守両面に関与して勝負を決める“勝たせるCB”に一歩近づいた昌子だが、目指すべき姿は、もうひとつの側面を持つ。
 
「“勝たせるCB”イコール、“頼られるCB”。みんなに頼ってほしい」
 
 もっとも、チームメイトが「なんでもかんでも、“源、よろしく”」という状況は望んでいない。昌子源という存在が、味方の思い切ったプレーを引き出せるようにと願っている。
 
「良い意味での頼られ方。なんていうのかな、(味方が)『自分がついて行かんでも、源がおるからいいや』じゃなくて、『源がおるから、自分は前に行ける』とか。そういう頼られ方をされたい。そういうCBになりたい」
 
 そのためには、チームメイトから全幅の信頼を寄せられなければならない。そのことは昌子も「今季の俺の成果がモノを言う。俺が全然アカンかったら、誰もそんなこと思わんやろし」と十分に理解している。
 
 ただ、周囲が認めるだけのパフォーマンスは披露しているはずで、本人も少なからず手応えを感じているようだ。
 
「負けている試合でも、良いプレーや身体を張れている部分はあると思っている」
 
 チームを勝たせたい。そして信頼される男になりたい。そのためには、自分が頼られるに値するプレーを見せなければならないのだ。
 常に強い責任感と覚悟を胸に抱きながら、昌子はピッチに立って戦っている。身体を張ってゴールを守っている。自惚れているわけでも、思いあがっているわけでもない。常に本気でサッカーと向き合っているからこそ、自らのパフォーマンスを「重症」と受け止めれば、「身体を張れている」という自負も芽生えてくる。
 
 そういう自分だからこそ、「代表にも選んでもらえていると思う」と言葉に力を込める。
 
 どこか閉塞感が漂う今のハリルジャパンに必要なのは、昌子のような気概に満ちた選手ではないだろうか。逆に言えば、昌子の年代の突き上げがなければ、日本代表の世代交代はいつまでもたっても進まない。
 
 鹿島だけでなく、日本代表という枠組みでも、自覚を、野心を持つべきだ。もちろん、そんなことは昌子自身が一番分かっていることだろうが。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)