[天皇杯3回戦]湘南4-0徳島/9月22日/BMWス
 
 来季のトップチーム昇格が内定している“メイド・イン・ベルマーレ”の17歳・石原広教が、公式戦初スタメンで輝きを放った。
 
 試合の入りは最悪だった。3バックの左に入ると、開始直後のファーストプレーでミスからボールを奪われ、ピンチを招いてしまう。相手のシュートが枠を外れたため事なきを得たとはいえ、ともすれば引きずってもおかしくないシチュエーションだ。

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 しかし、「まず自分の判断でプレーしろ」と曺貴裁監督からアドバイスを受けていた石原は、敢えてミスを「気にしない」ことを選択。すぐさま気持ちを切り替え、次のプレーに臨んだ。
 
「周りの選手も『そんなミス、気にすんな』と声をかけてくれました。ミスして自分の世界に入ってしまうとチームの足を引っ張ってしまう。だから、(ミスを)気にせずに、やれることをやろうと思いました」
 
 ロングボールを収め、攻撃の起点を作ろうとする徳島のシャドー・山?凌吾に対して、石原は球際に強いクラッシャータイプの本領を発揮。高さとパワーのハンデ(身長差18センチ)を物ともせず、身体を張って食らい付いていく。39分には自陣のボックス内で肉弾戦となったが、倒れずに行く手を阻み、最後は鋭いスライディングで攻撃の芽を摘んだ。試合を通しても無失点に封じ、本人も「対人」に関しては手応えを感じたという。
 
「対峙したFWが大きかったので、(パスを)出されてから(マークに)行って後追いになったら、自分が劣勢になってしまう。だから、出される前にしっかり予測して、先に触れるように、ポジション取りや身体の向きを意識したり、相手がボールを持って顔が上がった瞬間をしっかり見ながら、対応できたと思います。ビビらず、いつも通りに戦えたかなと」
 
 そんな石原を、曺監督も「本当に堂々としていた」と高く評価する。
 
「ピッチに入ったら何歳とか関係なくて、僕はできると思って(試合に)出している。ファーストプレーでミスをして、どうなるのかなという部分はありましたけど、その後にしっかり取り戻した。そういう意味では“予想通り”ですね。メンタルというか、想いの強さを感じたし、それをチームに生かさなければいけないと思いました」
 プロの公式戦で初めてフル出場。試合直後は足が攣り、「疲れすぎて、何が何だか分からない」状態だったという。今年6月のルヴァンカップ(神戸戦)でトップチームデビュー、この日の徳島戦で公式戦初スタメンを果たし、今後は周りの見る目も徐々に厳しくなっていくだろう。同じく10代の神谷優太や齊藤未月はすでにリーグ戦の舞台に立っており、「意識してないわけではない」と話す石原は、早くも自身に次なる“ノルマ”を課している。
 
「次はJ1(リーグ戦)デビュー。そこは今季中に達成したいですね。試合に出ることを“当たり前”にしていかないといけないし、サポーターの皆さんにもそういうふうに見てもらいたい。チームの一員になったからには、自分がベルマーレを勝たせるという気持ちでやるつもりです。同時に、(2020年の)東京オリンピックであったり、常に上のレベルを目指していきたいと思います」
 
 チームが苦しい時に戦える選手に――。小学校3年の時から過ごしてきた愛するチームが、降格の危機に立たされている今、17歳の若武者は静かに闘志を燃やしている。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)