[天皇杯3回戦]湘南4-0徳島/9月22日/BMWス
 
「常に相手のゴールに向かうのが、我々の本来の姿。非常に素晴らしい出来だったと思います」
 
 曺貴裁監督は、攻守でアグレッシブにプレーする“湘南スタイル”を体現し、2011年以来となる天皇杯3回戦を突破した選手たちを称えた。それを先導したのが、プロ初ゴールを挙げた齊藤未月、公式戦初スタメンでアシストを記録した石原広教、そして忘れてはならないのが、高卒ルーキーの神谷優太である。

【湘南】神谷や齊藤だけじゃない! 公式戦初スタメンの17歳・石原が示した無限の可能性

 2ボランチの一角に入った神谷は、齊藤のやや後方に位置取りながら、次々と縦パスを打ち込んでいく。成功率はお世辞にも高いとは言えないが、めげずにトライ&エラーを繰り返す姿からは、前に行こうとする意図がヒシヒシと伝わってきた。ギラギラ感が滲み出るプレーは彼の特長のひとつであり、見ていて非常に清々しい。
 
「今日のテーマはチャレンジだと思っていました。積極的に前にボールを入れてゴールに貪欲になれば、(ボールを)取られてもみんなで前から行けるかなと。ただ、立ち上がりは良いテンポで1タッチとかシンプルにできたんですけど、途中から足が止まってきて、なかなか出すところがなかった。そういう時に頭を使ってどう運ぶか。そこはまだ足りないし、ゲームコントロールのレベルを上げていかないといけない」
 
 神谷がもうひとつ課題に挙げるのは、「ゴール前でのアイデア」である。自らボールを持ち上がった時に、もうひとつパスを出すのか、それともシュートを打つのか。試合を重ねるごとに冷静さが増し、地に足をつけてプレーできているだけに、最も効果的な選択肢を見出せれば、得点につながる確率も増すだろう。
 
「チームとして4点取れたのはすごく良かったし、攻撃のコンビネーションとかセットプレーからの得点は、次のリーグ戦(9月25日/第2ステージ13節)に向けて良い手応えを得られたと思います。僕は試合途中からひとつ前のポジション(シャドー)に入りましたけど、ゴールに貪欲にプレーできたかなと。あとは判断のスピードであったり、最終局面で決め切る力を上げていくこと。そうしないと、もっと上のレベルでは通用しないと感じました」
 徳島戦では、神谷を含めて10代の選手が3人スタメンに名を連ね、注目を集めた(残りのふたりは先述の齊藤と石原)。神谷は彼らの1学年上にあたる、いわば“長兄役”。本人もそれは自覚しているようで、プレーで牽引していきたいと語る。
 
「ライバルと仲間、どっちの側面もあります。例えば未月がメンバーに入って俺が落ちたとすれば、もちろん悔しい。でも、実力的には絶対に負けていないと思う。そこは自信を持ってやっていきたいし、未月にあって自分にないものがあるので、そこはお互いに尊重し合いながらやっていければいいかなと」
 
「10代の選手では僕が一番年上ですけど、僕はJでも(試合に)出ていますし、いろんな経験をさせてもらっている。それをアイツらにもっと教えていくべきだと思うし、もっと背中で引っ張っていけるようにならないと。僕ら3人が主力となってやっていけるように頑張りたいです」
 
 10代トリオが今後どのようなハーモニーを奏でるのか。その中心にはきっと、”後輩”を牽引する神谷の姿があるはずだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)