オランダ2部リーグ・VVVフェンロのコーチとしてヨーロッパでの指導者人生をスタートさせている元日本代表MFの藤田俊哉さん。現地で日々感じたことを、月1回のペースでお届けします。今回は、今シーズンからVVVフェンロに入団してきた日本人選手について。
 
――◆――◆――
 
 かつてVVVフェンロでは、本田圭佑、吉田麻也、カレン・ロバート、大津祐樹がプレーしていたが、そんな彼らに続いて、今シーズン、VVVフェンロに5人目の日本人プレーヤーが誕生した。
 
 彼の名は田嶋凛太郎。凛太郎のVVVフェンロ入りのニュースは、日本のメディアにも取り上げられていたと思うけれど、彼は暁星高を卒業し、今年4月に慶応義塾大に入学した。同大サッカー部へ入部していたが、VVVフェンロへのテスト入団を経て、7月31日付けで慶応大を休学し、オランダへ渡ることになったのだ。
 
 VVVフェンロへ入団することになったキッカケは、昨年末に彼が海外での挑戦を考えていることを知り、クラブに相談したところ、練習参加ならいつでも歓迎すると言ってくれたのが始まりである。
 
 その後は日々のトレーニングでのアピールが評価され、彼は自らの力でその可能性を証明した。監督やコーチングスタッフは彼の堅実なプレーぶりを評価し、フロントはプレーヤーとしての将来性、バイタリティ溢れる行動力、コミュニケーション能力の高さ、環境の変化への順応性を評価した。
 
 昨夏から3度練習に参加した実績もある。いずれも彼は日本からひとりで飛行機と電車を乗り継いでフェンロにやってきた。19歳の時の自分が海外に出てそれができたかな? と考えたら、やはり彼はタフな選手である。
 
 それだけではなくスマートな青年でもある。聞くところによると、暁星高時代には、財団法人日仏会館が主催する『フランス語コンクール』で受賞経験(編集部注:2014年アンスティチュ・フランセ日本賞)があるという。
 
 彼のポジションはセントラル・ミッドフィールダー。試合経験が少ないので、まだゲームでは戸惑うシーンを見受けられるが、ハードワークが身上で規律正しくプレーできる。時間をかけてその部分をさらに磨いて、より戦術を理解し、アグレッシブにプレーすれば、可能性も大きく広がるはずだ。
 
 8月4日に正式にプロ契約を結び、チームに合流してわずか1か月しか経っていないものの、9月10日のフォレンダム戦で初のベンチ入り。続く9月17日のヘルモント・スポルト戦でも再びベンチ入りを果たすなど、デビューはまだ飾れていないが、監督の気持ちはすでに掴んでいる。
 
 トップチームでトレーニングしている毎日は凛太郎への大きな刺激となって、確かな成長へとつながっている。課題のひとつでもあるスピード、激しさにも順応できつつある。
 
 彼の姿を見ていると、チャレンジすることの大切さを痛感させられる。サッカーの世界に限らず、国際競争力の低下が懸念されている日本だが、いろんな刺激や経験をすることで、思いもよらない成長を遂げる若者は多い。これからも凛太郎のような若者がどんどん海外へ出て、たくさんの経験を得ながら競争力を身につけ、世界中で日本人の能力の高さを証明してもらいたい。
 
 本田圭佑や吉田麻也がVVVフェンロから羽ばたいていったように、凛太郎もここから大きくステップアップして日本を代表する選手になってほしい。まずは1年後、VVVフェンロのオランダ1部リーグ昇格に貢献することができたら最高だね。今年の楽しみがまたひとつ増えたよ!
 
■プロフィール
ふじた・としや/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高−筑波大−磐田−ユトレヒト(オランダ)−磐田−名古屋−熊本−千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からVVVフェンロのコーチとして指導にあたっている。