[J1第2ステージ13節]新潟0-2鹿島/9月25日/デンカS
 
 試合の趨勢は、柴崎岳の一撃で決まったと言っても過言ではない。それほど、先制点のインパクトは大きかった。
 
 均衡を破ったのはアウェーチームだった。48分、小笠原満男が蹴ったCKはニアサイドで一度クリアされる。そのボールは誰にも触れられることなく、ワンバウンドしてペナルティエリアの外側で待ち構えていた柴崎のもとへ。
 
 その瞬間、即座に左足のインサイドでボールを叩くと、絶妙な軌道を描きながらゴール左上にシュートが突き刺さった。コース、威力とも申し分のないそのボレーシュートは、まるで、柴崎の真骨頂である高度な技術、そして、一瞬のひらめきが凝縮されているようだった。
 
 このゴールが決まるまでの柴崎は、攻撃面で突出したプレーをしていたわけではない。それは「チーム全体で守備意識が非常に高かった」(石井正忠監督)ことが影響したのだろうが、前半から守備に徹するシーンが多く、どちらかと言えば黒子のイメージに近かったのは、前半のシュート数が「0本」だったことからも窺えるだろう。
 
 試合後、ひと言も発することなくチームバスへと乗り込んだ柴崎の意思は定かではないが、「後半は貪欲に狙おう」という覚悟があったのかもしれない。瞬時の判断が迫られる場面で、迷いがあってはあの一撃は生まれなかったはずだ。
 
 柴崎の「素晴らしい左足ボレー」(石井監督)でリードを奪った鹿島は、その後、試合巧者ぶりを発揮。先制点を献上しダメージを被った新潟をよそに、徐々に「ウチのペースになった」(石井監督)のは、まさに背番号10のハイレベルなワンプレーが導いたと言える。
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)