[J1第2ステージ13節]浦和3-0広島/9月25日/埼玉
 
 3-0で勝利を飾った広島戦、キャプテンの阿部勇樹はチーム全員、そしてサポーターが一体となって戦えたことに充実感を覚えていた。ライバルを下したことよりも、チャンピオンシップ進出を決めたことよりも、意義があると――。
 
 サポーターとの“融合”が肌で感じられたのは、32分に広島のピーター・ウタカがPKを外したシーンである。宇賀神友弥が「雰囲気が凄かった」と振り返るように、スタンドを埋め尽くしたサポーターは、ゴールを”守るべく”大声を張り上げてキッカーにプレッシャーをかけ、ミスを誘発した。まさに「サポーターが助けてくれたプレーだった」(西川周作)と言えるだろう。阿部は静かな口調で想いを綴っていく。
 
「俺も昔、相手として(PKを)蹴ったことがあるけど、まあ嫌だったんじゃないですかね。味方として本当に頼もしいなと。ああいったシーンで相手が外してくれて、その後に点を取ってしっかり勝てたのは、『ひとつになって戦えたな』というふうに思える」
 
 ひとつになって戦う――。その言葉を聞いて思い出すのが、2015年3月のACL2節・ブリスベン・ロアー戦だ。シーズン開幕から公式戦3連敗を喫し、試合後にスタンドから猛烈なブーイングと野次が飛ぶと、普段は物静かな阿部がサポーターに人差し指を高く掲げて、「勝つために俺たちも頑張るから、一緒に闘ってよ!」と訴えた。その後、浦和がリーグ戦で19戦無敗と突っ走ったのは記憶に新しい。誰よりも一丸となる大切さを知る男だけに、その言葉にはより重みがある。
 
「ここからの試合は、(選手とサポーターが)ひとつになって戦っていかないといけない」
 広島戦でJ1通算499試合目の出場となった阿部は、次節のホームG大阪戦で史上6人目となる500試合到達が濃厚だ。しかも、史上最年少(35歳25日)での記録が懸かる。ただ、優勝争いの渦中に個人がスポットを浴びるのは本意ではないようで、「そっとしといてください(笑)」とユーモアを交えて報道陣を制する。
 
「(G大阪戦は)大事な試合だから、勝てば別に何でもOK。いつもと違うことすると、あまり良くない流れが舞い込んでくるから、あまり盛り上げすぎないでください(笑)。10日間くらい静かにしていてもらって、それについては試合が終わってからということで」
 
 キャプテンの重責を担う男の頭は、チームのことでいっぱいだ。昨季シーズン終盤に失速した悪夢を払拭し、良い状態でチャンピオンシップに臨む意味でも、G大阪戦を含めた残り4試合は非常に重要である。
 
「ここからが難しいと思いますけど、自信を持って戦っていかないといけないし、自分たちらしさを出しつつ、賢くやっていければいいんじゃないかなと。ステージと年間優勝を目標にして、勢いに乗ってチャンピオンシップに乗り込みたい」
 
 自身初、クラブとしては2006年以来のリーグ優勝に向けて、阿部とチームメイト、そしてサポーターたちの戦いはクライマックスに向かっていく。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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