鹿島での公式戦直近3試合(9月17日のリーグ磐田戦、同22日の天皇杯・岡山戦、同25日のリーグ新潟戦)で、柴崎岳は主戦場のボランチではなく、4-4-2の攻撃的MF(右サイド)で先発起用されている。
 
 磐田戦後、石井監督にコンバートの意図を聞けば、「バイタルで受けて、良いタイミングでパスが出せる」ことや、「ボランチの位置からミドルレンジのパスになるより、スルーパスなどを期待」していたという。
 
 よりゴールに直結する仕事を求められた柴崎は、そのタスクを十分に理解し、ピッチ上で表現していく。磐田戦を視察していた日本代表の手倉森コーチは、次のように評価していた。
 
「中の選手が近づいてくれば、SBを使いながら、3人目の動きを意識したプレーをする。あのコンビネーションの描き、アイデアがある」
 
 同コーチはまた、攻撃的MFでの経験が、ボランチに戻った時も生きてくると考えている。サイドでどう振る舞えば、攻撃に厚みを出せるか。それは実際にプレーした柴崎自身が肌で感じているはずで、例えば日本代表で言えば4-3-3のウイングに対し、「『今はサイドに張っていてほしい』とか、そういう話ができるようになると思う。これは大きい」(手倉森コーチ)と期待を寄せている。
 
 ボランチとは異なるポジションでプレーしながら、ボランチとしての経験値を上げている。さらに言えば、サイドの高い位置での実績を積み上げていけば、“ウイング”という選択肢が出てきてもおかしくはない。
 
 ボランチ、あるいはウイングでも面白い――確実にプレーの幅を広げている柴崎は、磐田戦で昌子の今季初ゴールを演出したCKなど、セットプレーのキッカーとしても貴重な存在でもある。岡山戦では自らの仕掛けから相手のオウンゴールを誘い、新潟戦ではCKのこぼれ球に対し、鮮やかな左足ボレーを叩きこんだ。
 
 得点に関与しているのはセットプレー絡みが多いとはいえ、決定的な仕事を果たしているのは事実。3-0で磐田を下した後、岡山には2-1と逆転勝ちを収め、新潟には2-0と、連勝中のチームに大きく貢献している柴崎は、まるで今回の10月シリーズに合わせるかのように状態を上げてきている。
 
 代表からしばらく遠ざかってはいるが、まさに今が“旬”の男を呼ばない手はない。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)