縦に抜くのも、カットインするのも、自由自在だ。その突破を止めようと相手が出してきた足を軽やかにかわし、ゴールに向かって突き進む。Jリーグで今、横浜の齋藤学ほど、キレまくっているドリブラーは、おそらくいないだろう。
 
 2-3と死闘を演じた先日の川崎戦でも、持ち前の突破力は随所に発揮されていた。ロスタイムには、相手のパスミスをかっさらい、ペナルティエリア内に侵入。細かいステップで迫りくるDFとGKの態勢を崩し、最後は伊藤の同点弾をアシストしてみせた。
 
 今年の3月シリーズ(ロシアワールドカップ・アジア2次予選)では、24日のアフガニスタン戦で負傷した小林の離脱に伴い、追加招集された。ハリルホジッチ監督は「FWとして真ん中もできるし、サイドもできると思っている。彼には爆発的なスピードがある。身長は小さいが、テクニックに関しても問題はない」と評価。しかし、29日のシリア戦にベンチ入りしたものの、出場はなかった。
 
 代表でポジションを争うとすれば、4-3-3の左ウイングだろう。原口、宇佐美、清武らがライバルとなり、とりわけ原口はヘルタ・ベルリンでレギュラーの座を掴み、充実のシーズンを送っているだけに“強敵”だ。
 
 原口もドリブル突破を武器としており、いわば齋藤と同タイプである。ただ、原口も齋藤も、左だけでなく右も遜色なくこなすことができる。ハリルジャパンの右ウイングは本田の“指定席”だが、その本田は今季、ミランで思うように出場機会を得られていない。
 
 それは宇佐美にしても同様で、試合勘で言えば、本田や宇佐美より、齋藤のほうがはるかにある。右ウイングでは小林の存在も無視できないが、それでも齋藤につけ入る隙は十分にあるはずだ。
 
 原口と齋藤。突破力のあるふたりが左右のウイングに名を連ね、両サイドから果敢に仕掛けて、攻撃をリードする。特に、大柄な選手が揃うオーストラリア相手には、彼らのスピードと打開力は脅威になるはずで、バイタルエリアでファウルをもらえれば、セットプレーのチャンスも広がる。
 
 遅々として進まない日本代表の世代交代を考えても、原口や清武らロンドン五輪世代のさらなる台頭は必須。26歳の齋藤にかかる期待は、決して小さくない。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)