日本代表のハリルホジッチ監督は、「私は若い選手を信頼しています。だが、五輪世代の選手がJリーグで先発できないのは残念だ」と若手がなかなか台頭していない現状を嘆く。そんな指揮官に、柏の中谷進之介を推したい。
 
 リオ五輪はバックアップメンバー止まりだったが、今季リーグ戦27試合にフル出場。ブラジルから帰国してからは、さらにクラブで逞しさを増している。今季序盤に見られたコンディションの波も収まり、安定したパフォーマンスを出せるようになっている。直近5試合負けなしと好調の柏を牽引する。
 
 9月10日の鹿島戦では、的確かつ力強いディフェンスで、相手のエースである金崎夢生を封じ込め、完封勝利に貢献。柏の下平隆宏監督も、「対人のところ、ヘディングの競り合いを含めて、少しずつ力強さが出てきている」と称賛する。
 
 さらに、守備面だけでなく、攻撃面でも存在感を発揮。9月17日の神戸戦ではCKから打点の高いヘディングでゴールを奪い、同25日の甲府戦でも度々、空中戦の強さを見せ、ゴールに迫った。
 
 攻守両面で高いポテンシャルを見せる弱冠20歳のCBは「無失点で守れることもそうですけど、点を決められるCBになりたい」と語り、「セルヒオ・ラモスみたいに試合を決められるCBになりたいと思っています」と目標の選手を挙げる。
 
 ディフェンスは経験値が重視され、若手よりもベテランが優遇されるポジションではある。もちろん、既存の吉田麻也や森重真人と比べれば、経験という面では歴然の差があるし、UAE戦で大島の起用が失敗したように、ワールドカップ予選という結果が最優先されるプレッシャーのかかる国際試合で若手を起用することは、相当のリスクを伴う。
 
 それでも、中谷が目標とするセルヒオ・ラモスは20歳でドイツ・ワールドカップに出場して、現在はスペイン代表の絶対的なディフェンスリーダーとなっているように、若くして国際経験を積ませることで、将来の代表チームを背負う人材となる可能性もある。
 
 中谷には、リスクを冒してでも、そのポテンシャルを試す価値は十分だ。いつか吉田と森重コンビに風穴をあけるかもしれない。

取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)