32歳とベテランの域に入った長谷部は最終予選でミスが散見され、遠藤保仁の後釜も固定できずにいる。軸は誰?世代交代は必要か?日本をワールドカップへと導くボランチコンビの最適解について4人の識者に訊いた。

●後藤建生 (サッカージャーナリスト)
長谷部誠(フランクフルト)×山口 蛍(C大阪)
「カウンター対策で山口か遠藤は置きたい」
 
 UAE戦とタイ戦で致命的なミスを犯した長谷部だが、やはりその経験値は日本代表には必要だ。コンディションさえ整えばチームの中心として活躍できるはず。もしも長谷部が出場できないのであれば、経験が豊富でフィジカルが強い青山敏弘を招集したい。
 
 UAE戦では長谷部の相棒に、攻撃センスが持ち味の大島が起用された。ただ最終予選の初戦という緊張度の高い試合でデビューさせたのは、気の毒で仕方なかった。
 
  しかし、問題は大島の出来の良し悪しではない。そのポジションに、どのような役割を求めるかだ。
 
 アジアの戦いで怖いのは、カウンターを食らって、相手の強力FWに日本のDFとのマッチアップに持ち込まれる状況。そうなると「デュエル」の弱さが露呈されてしまう。そのため中盤に守備力のある選手を置いて、カウンターを遅らせたい。

 タイ戦の山口はこの役割をこなして勝利に大きく貢献した。長谷部の相棒は山口か、同じく守備力の高い浦和の遠藤のどちらかが理想か。
 
 中盤でパスをつないでくるチームであれば、山口がパスの起点を消せばいい。ロングボールを使うチームであれば、遠藤がCBと協力してエースを封じればいい。
 
 試合の流れを読み、テンポを変えられる選手がいないのも日本の大きな課題に挙げられる。UAE戦でも先制したあとに試合を落ち着かせていれば、逆転はされなかった。状態が万全であれば、遠藤保仁の復帰も待望したい。
●浅田真樹 (スポーツライター)
大島僚太(川崎)×長谷部誠(フランクフルト)
「リオ五輪で出色だった大島は使い続けるべき素材」
 
 リオ五輪を見ていても、大島の落ち着いたプレーぶりは出色だった。少々相手に寄せられてもまったく慌てずパスを出し入れし、状況次第では自らもドリブルでボールを持ち運べる。また、先のUAE戦を見ても予想以上に守備での貢献度は高かった。現状では物足りない部分があっても、使い続けていくべき素材だ。
 
 攻撃の組み立てでは柏木も引けを取らず、視野が広い点では大島以上だと思うが、年齢的なことから大島を優先したい。いずれにしても、大島、柏木のいずれかはボランチに置く必要がある。そうでないと、タイ戦のように攻撃が非常に単調なものになってしまう。
 
 若い大島を使うにあたって、パートナーには長谷部を起用したい。世代交代の促進とは矛盾する部分もあるが、キャプテンとしてのリーダーシップを含めて考えると、長谷部をすぐには外しにくい。経験の浅い大島の指導係としても適任だ。
 
 とはいえ、過去の日本代表を見ても、30代の選手はいつ大きく調子を落とすか分からず、長谷部に頼り続けるのは危険だ。親善試合なども上手く活用しながら、 山口、あるいは浦和の遠藤に切り替える用意は必要だ。
 
 また、両SBも含めた全体のバランスをどう取るかにもよるが、今のように攻撃が中央に偏るなら、SBのポジションを下げて、その分ボランチが縦のポジションチェンジを繰り返して崩すほうが有効ではないか。そうであれば、大島と柏木を組ませてみたい。
 
●熊崎 敬 (スポーツライター)
長谷部誠(フランクフルト)×遠藤 航(浦和)
「ボールを奪える遠藤が日本の課題を解決する」
 
 日本代表にとって、ボランチは課題のポジションのひとつとされる。もちろん、それはボランチに限った問題ではないが、SBが常に攻撃に関与することが前提となっているため、逆襲を受けた時に ボランチが広いエリアをカバーしなければならないからだ。
 
 手数をかける攻撃スタイルは、今後も変わらない。そうなるとボランチには広域を動き回り、断続的にボールを拾い、つなぐ役割が求められる。この観点で浮上してくるのが遠藤だ。リオ五輪のパフォーマンスは今ひとつだったが、激しく動き続けてボールを奪うことではJリーグでもトップクラスのタレントだ。最終予選の舞台となる、埼スタの大観衆に慣れているという点も買いたい。
 
 この遠藤と組ませたいのがベテランの長谷部。運動量に不安はあるものの、その経験値と統率力は捨てがたい。というのもUAE戦の敗戦で指揮官の求心力が低下した今、「ピッチ上の監督」というべき存在がチームには欠かせないと思うからだ。
 
 この他には、タイ戦に出場した山口、Jリーグで好調な中村憲剛も候補に挙げたい。それからもうひとり、吉田とCBコンビを組む森重をひとつ前で使うというオプションはどうか。最終予選のアウェーでは、カウンターから敵に走られる場面が増えることが想定され る。こうしたピンチを早めに防ぐためだ。
 
 もっとも森重がボランチになったら、誰が吉田と組むのかという問題が生まれるが……。
 
●二宮寿朗 (スポーツライター)
長谷部誠(フランクフルト)×柏木陽介(浦和)
「長谷部は最終予選を勝ち抜くために外せない」
 
 チームで最も替えが利かないのは、長谷部だと考える。UAE戦、タイ戦ともにミスが目立ったものの、攻守両輪で身体を張って働けるボランチとして、一番手であることに変わりはない。UAE戦では微妙な判定を繰り返す主審とコミュニケーションを取りながら、チームメイトにはプレーに集中させている。
 
 ピッチ外でも、UAEに敗れたショックからチームを前に向かせた。絶対的なキャプテンの存在はやはり頼もしかった。最終予選を勝ち抜くために長谷部は外せない――というのが結論だ。ただし、フランクフルトでレギュラーとして出場し続け、コンディションが良いというのが前提だが……。
 
 相棒は柏木が一番しっくりとくる。ダイアゴナルのパス、サイドチェンジなど、左足の多彩なキックで攻撃のリズムを変えられるのは貴重で、セットプレーのキッカーも任せられる。守備面でも、浦和ではインターセプトの回数が増えるなど向上を見せている。
 
 また、タイ戦でカウンターのピンチを食い止めた山口は、広範囲に渡るボール奪取力がストロングポイント。相手によって柏木と山口を使い分けていくのが理想だろうか。
 
 楽しみなのが大島だ。狭いエリアでも苦にせず働く彼の特長を周りが理解できれば、崩し方にもバリエーションが増えるはず。とはいえ、長谷部の後継者も見つけなければならない。キャプテンシーがある浦和の遠藤にも期待したい。

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