9月29日、日本協会はロシア・ワールドカップ・アジア最終予選(第3節:イラク戦、第4節:オーストラリア戦)に挑む日本代表のメンバー26名を発表した。
 
 日本は10月6日にホーム(埼玉スタジアム2002)にイラクを迎え、5日後の同11日にはアウェー(オーストラリア/メルボルン)でオーストラリアと対戦する。
 
 初戦のUAE戦(1-2)、続くタイ戦(2-0)を終え、1勝1敗の成績でグループBではオーストラリア、サウジアラビアに続く3位のハリルジャパン。グループの上位2か国に与えられるロシア行きのチケットを掴むためにも、10月シリーズでは“2連勝”を達成し、ひとつでも順位を上げたい。
 
 メンバー発表に先立ち、ハリルホジッチ監督は「10月は難しい2試合が待っています」と表情を引き締める。もちろん、「2試合に勝つ」と連勝を誓った。
 
 選ばれた26名の内訳をポジション別に見ていくと、GKが3人、DFが9人、MFが7人、FWが7人。以下、基本システムの4-3-3に沿って、各セクションの序列を考察していく。
 
【GK/3人(欧州組1人 国内組2人)】
◎西川周作(浦和)/○東口順昭(G大阪)/△川島永嗣(メス)
 
 9月シリーズからの変更では、林彰洋(鳥栖)が外れて、川島が復帰を果たした。
 
 実績では川島がダントツだが、序列では三番手に。所属クラブで出場機会を得ていないこともそうだが、以下の指揮官の言葉が理由となる。
 
「厳しい戦いに彼の存在感は必要ですが、プレーするかは別問題。経験ある選手のひとりで、コミュニケーションや、(チームを)励ましてほしい。この2試合は今までよりもメンタルを強調していかなければなりません。そのために永嗣を呼びました」
 
 厳しい見方をすれば、今回の川島には“ピッチ上の活躍”はあまり期待されていないようだ。代わりに、選手たちのモチベーションを刺激し、チームをひとつにまとめるなど、裏方としての働きが求められている。
 
 レギュラーはA代表での実績を着実に積んでいる西川で、G大阪で安定したパフォーマンスを披露している東口がこれに続く位置付けだろう。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【DF/9人(欧州組5人 国内組4人)】
CB:◎吉田麻也(サウサンプトン)/◎森重真人(FC東京)/〇槙野智章(浦和)/△丸山祐市(FC東京)/△植田直通(鹿島)
 
 5人の面子を見渡せば、吉田と森重の“鉄板コンビ”の牙城を崩せるような候補者は見当たらない。経験のある槙野は故障明けでコンディションに一抹の不安を抱えるだけに、ベンチスタートが濃厚だろう。
 
 9月シリーズでは追加招集だった丸山と植田は、今回は最初からメンバーに名を連ねた。もっとも、ふたりともA代表での出場歴はいまだゼロで、吉田や森重、槙野らに比べれば、序列は大きく下がる。
 
 腰の状態が芳しくなく、今回は選外となった昌子源(鹿島)が万全であれば、丸山と植田の招集はなかったかもしれない。いずれにせよ、チャンスであるのは事実。トレーニングからの必死のアピールで、指揮官の評価を高めたい。
 
右SB:◎酒井宏樹(マルセイユ)/○酒井高徳(ハンブルク)
左SB:◎長友佑都(インテル)/△太田宏介(フィテッセ)
 
 多くの欧州組が所属クラブで思うように出場機会を得られていないなか、“ダブル酒井”は開幕からレギュラーポジションの座を掴み、充実のシーズンを送っている。
 
 酒井宏は9月21日のレンヌ戦で右足を痛め、前半の早い時間帯に途中交代を余儀なくされたが、4日後のナント戦にはフル出場し、勝利に貢献。負傷箇所は完治していなかったようだが、攻守両面でアグレッシブなプレーを見せており、大きな心配はなさそうだ。
 
 右SBは、どちらがレギュラーを張ってもおかしくないが、酒井宏は9月のUAE戦とタイ戦でともに先発しており、まずまずの出来だっただけに、今回もスタメン候補とした。
 
 一方の酒井高は、その2試合では長友の負傷離脱を受け、左SBにコンバートされ、レギュラーを務めていた。しかし、長友が健在ならば、左右のバランスを考えても、左ではなく右で考えられているはず。
 
 そして左SBは、長友の一択で決まりだろう。たしかに、インテルではベンチで燻っているとはいえ、太田が長友に取って代わるほどの活躍を見せられているわけでもない。
 
 長友の状態が思ったよりも上がってこなければ、再び、酒井高を左に回せばいいだけだ。その意味では、太田はプライドを賭けて、まずは二番手争いに挑まなければならない。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【MF/7人(欧州組3人 国内組4人)】
ボランチ:◎長谷部誠(フランクフルト)/◎柏木陽介(浦和)/○山口 蛍(C大阪)/〇大島僚太(川崎)/△永木亮太(鹿島)
 
 長谷部は不動の中盤の軸。2ボランチは「守備タイプ+攻撃タイプ」を組ませるのが基本形とするならば、相棒は「後ろから組み立てる存在」(ハリルホジッチ監督)である柏木で異論はないだろう。
 
 代わり映えのしない招集メンバーのなかで唯一、初招集となったのが永木だ。ハリルホジッチ監督は「長谷部、山口、永木あたりがボールを奪う」と語るように、守備タイプに分類されており、目下のライバルは山口になる。
 
 大島は柏木のバックアッパーとして控えるが、「信頼して使い続けていきたい。能力はかなりある」と指揮官もさらなる台頭を待ち望んでいる。試合展開によっては、途中起用されても不思議ではない。
 
トップ下:〇香川真司(ドルトムント):○清武弘嗣(セビージャ)
 
 これまでは香川に「◎」を付けることになんの迷いも躊躇いもなかった。だが、今季のドルトムントでの現状――“ベンチ外”もあるほどの不遇――を考慮し、なおかつポジションを争うのが実力者の清武である以上、「〇」へのランクダウンは避けられない。
 
 しかしながら、清武に至っても、代表での序列を完全に覆すほど、新天地セビージャで躍動できているわけではない。置かれている状況は香川と大差なく、ピッチに立てない時間のほうが長くなってきている。
 
 香川がもはやアンタッチャブルな存在でなくなった以上、清武からすれば、ポジションを奪う絶好の機会かもしれない。逆に香川からすれば、これまで通りスタメンに抜擢されたとして、もしそこで不甲斐ない出来に終始すれば、指揮官もいよいよ“決断”を下すかもしれない。
 
 攻撃面で重要なタスクをこなさなければならないトップ下で、ファーストチョイスとなり得る選手が見当たらない。ハリルホジッチ監督がいかなる采配を振るうのか、注目したい。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
【FW/7人(欧州組6人 国内組1人)】
CF:〇岡崎慎司(レスター)/○浅野拓磨(シュツットガルト)/△武藤嘉紀(マインツ)
 
 トップ下に似たような現象が、CFでも起きている。
 
 いくら代表で輝かしい実績を誇っているとはいえ、レスターで急速に出番を失っている岡崎をスタメン候補に推すことはできない。9月のタイ戦では右足の負傷もあり、出場できなかったが、代わりにCFで先発した若い浅野が1ゴールを記録。その浅野はシュツットガルトで少しずつプレータイムを増やしており、コンディションは悪くない。
 
 若手の起用に積極的なハリルホジッチ監督の下、序列が入れ替わってもおかしくはない。岡崎は香川と同様、難しい立場に立たされている。
 
 9月シリーズに引き続き、招集された武藤は、タイ戦での起用を見ても、浅野の次という位置づけだろう。ただし、すでにマインツでは2ゴールを記録。浅野に肉薄しているのは間違いないだろう。
 
右ウイング:◎本田圭佑(ミラン)/△小林 悠(川崎)
左ウイング:◎原口元気(ヘルタ・ベルリン)/△宇佐美貴史(アウクスブルク)
 
 本田も香川や清武と同じく、所属クラブでレギュラーからは遠ざかっている。それでも「◎」としたのは、ひとつにはポジションを争う小林とは様々な面でまだ大きな開きがあり、痛恨の逆転負けを喫した9月のUAE戦でも、最後まで頼りになる仕事ぶりを披露していたから。精神的支柱としても、ベンチに置いておくのは得策ではない。
 
 もちろん、小林は川崎でシーズン15ゴールを記録しているように、好調をキープしている。スタメンは奪えなくても、途中出場から流れを変える働きを期待してもいいだろう。
 
 同じく、ジョーカーとして楽しみなのが、宇佐美だ。9月シリーズの2試合でも、途中から効果的なプレーを見せていた。本人からすれば、先発へのこだわりは強いかもしれないが、定位置を争う原口と比較すれば、ベンチスタートを覚悟しなければならない。
 
 ヘルタ・ベルリンで盤石の地位を築いている原口は、不甲斐ない欧州組の中で最も信頼できる存在だ。最終予選初勝利となるタイ戦では久々の先発を飾り、貴重な先制点をゲット。清武や武藤らも候補に挙げられる激戦区の左ウイングで一歩リードしており、今回の10月シリーズでも鍵を握る選手になりそうだ。
 
※凡例:◎=スタメン候補 ○=準レギュラー △=三番手
 
文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)