9月29日に発表された代表メンバー26人のなかに、空中戦を得意とするFWの名前はなかった。4−2−3−1のCF候補として招集されたのは、「岡崎、浅野、武藤にチャンスを与えます」(ハリルホジッチ監督)という3人だ。
 
 これまでの予選の何試合かで、終盤にCB吉田を前線に挙げたパワープレーを敢行したことからも、指揮官は”高さ”をひとつの打開策と見ているのは間違いない。それでも長身FWは招集しない。その意図を指揮官自身が会見で語った。
 
「私も長沢(駿)の名前を出しましたが、(ハーフナー・)マイクももちろん追跡しています」とふたりの長身FWの名前を出した後、次のように続けた。
 
「マイクとも一緒にやりましたが、彼を入れるとまったく違う攻撃の仕方をしないといけない。私はグラウンダーを要求しています。空中のボールをほとんど要求しないんですね。ですので、最終予選でこうしたプレー(空中のボールを使ったプレー)を出すかどうかは躊躇しています」
 
 指揮官は地上戦に強いこだわりを持っているというのだ(であれば、吉田を前線に上げるのはなぜなのかと問いたくもなるが)。ただ、そのこだわりもワールドカップ予選の”真剣勝負”に限ったもので、「フレンドリーではトライしてもいい」ともいう。
 
 おそらく指揮官は、長身FWを活かしたロングボールやクロスをポジティブな戦術と捉えていないのだろう。それは次の言葉からも分かる。
 
「マイクを選んだ時は、彼に応じたプレーをしなければならない。そうでないと彼はプレーできません。攻守に渡ってボールに関われる選手を私は要求したい。そのためのチョイスです。ただ、長沢はマイクよりも運動量が多いですし、より攻撃の組み立てに参加できる感じもします。長沢も将来、ここに入っていいでしょう。でも、最終予選では、少しリスクがあるのかなと思っています」
 
 ハリルホジッチ監督が求めるのは、攻守に渡ってボールに関わり、運動量が多く、攻撃の組み立てにも参加できるCF。ハーフナー・マイクはその点でA代表の水準になく、Jリーグでゴールを量産した長沢も「最終予選では、少しリスクがある」として選ばない。
 
 結局のところ指揮官は、「どの選手にもドアは開いている」と言っているだけで、長身FWをチームに組み込む気はないと思わざるを得ない。つまり、今後も攻撃面でのドラスティックな変化はなく、ショートパスで打開する”いつもの日本”で戦うということだ。
 
 それは同時に、日本の悪癖が解消される可能性が低いことも意味している。手詰まりになると中央突破に固執する。そんな日本の課題は、いつまでたっても変わらないのかもしれない。