[J1・第2ステージ14節]
浦和レッズ 4-0 ガンバ大阪
2016年10月1日/埼玉スタジアム2002


 前半からイライラを募らせていたアデミウソンが、ついにキレてしまった。
 
 G大阪のトップ下に入った攻撃のキーマンは、後半から起点を作ろうとサイドに張り出すことが増えた。そこで対峙したのが、浦和の左ストッパーの槙野智章だった。
 
 伏線となったのが、直前のプレーだった。57分、GK東口順昭のロングフィードからの空中戦で、アデミウソンと槙野が競り合う。槙野がボールとアデミウソンを弾き飛ばして1対1を制すると、倒れたアデミウソンは主審にファウルを訴えたものの流された。
 
 その2分後だった。59分、再びタッチライン沿いで、G大阪のオ・ジェソクの放った縦パスに、ふたりがもつれ合う。ボールを後ろ向きで受けたアデミウソンに、槙野が足を伸ばしてボールに触れようとする――。すると、バランスを崩してふたりが倒れる。そこで怒ったアデミウソンが、槙野のみぞおちにパンチを見舞ってしまったのだ。
 
 不穏な空気を察知していた廣瀬格主審のまさに目の前で“事件”は起きた。そのため、主審はすぐさまアデミウソンにレッドカードを提示。浦和が2-0でリードする展開のなか、勝敗を決定づける“一発”退場劇となってしまった。
 
 試合後、槙野は次のようにそのシーンについて振り返った。
 
「(パンチを)みぞおちに食らいました。レフェリーがちゃんと目の前で見てくれていましたからね。彼(アデミウソン)は横浜F・マリノス時代からもそうでしたが、ノーマルな状態にさせないことで、良さを消せることは知っていました。そういった作戦でもありました」
 
 G大阪の背番号9にボールが入れば、槙野や遠藤航が自由を与えまいとしっかり身体を寄せて、球際にがつがつと当たり続けた。浦和守備陣は狙いどおり、アデミウソンがストロングポイントを発揮できる“間合い”で、プレーをさせなかった。
 
 槙野にとって、右太ももの肉離れにより、リーグ3試合ぶりの“復帰戦”となった。そこで好調だったG大阪アタッカー陣をしっかり抑え、しかも快勝を収めたことで、彼は自信を深めた。
 
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 「良い準備をしてきて、最初から最後まで圧倒できました。守備陣で『失点ゼロに抑えよう』と声を掛け合い、長沢選手やアデミウソン選手に仕事をさせないことを心掛けてもいました。素晴らしいコンビネーションからゴールも生まれましたからね。前線から良い守備ができていたから、良い攻撃につなげられました」

 そう手応えを掴んだ背番号5はこのあと、同じく復帰を果たしたワールドカップ・アジア最終予選に臨む日本代表に合流する。前回はメンバー発表当日に、その太ももの怪我が発覚したため無念の辞退を余儀なくされただけに、そのステージでもリベンジを誓う。
 
「(怪我明けだったが)今日が実戦の実質的な“テスト”と言えたし、やるべきことができました。6日のピッチに立てるように準備したいです」
 
 10月6日(午後7時30分開始)に埼玉スタジアムでイラクと対戦する。今、ある意味“日本一”自信を深めるCBを起用してみるのは、現状打破への一手になるのではないだろうか。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)