[J1第2ステージ14節]名古屋5-0福岡/10月1日/パロ瑞穂

【名古屋 5-0 福岡 PHOTO】 永井がハットトリック! J1残留へ名古屋が大きな1勝
 
 福岡に大勝しても、田中マルクス闘莉王の表情は険しいままだった。
 
「わがまま言える状況ではないので、とにかく勝ったこと、少しでも上にプレッシャーをかけられたことがすべて。5-0になるような試合ではなかったけど、皆が必死に闘っていたから神様が与えてくれた勝利かなと思います」
 
 この日、同じく残留を争う甲府が敗れ降格圏を脱出したが、自らに、そして、チームに強く言い聞かせるように、闘莉王の口からは次々と戒めの言葉が漏れた。
 
「少しだけ状況が良くなったものの、最後までなにが起こるかわからない。自分たちが何かを起こさないといけない。少しでも隙を見せたらやられるというのが今のチーム状況なので、とにかく必死でやろうと、みんなには言っている」
 
 窮地の名古屋を救うべく電撃復帰してから約1か月。9月10日の新潟戦で初出場してから4試合目となった福岡戦でも、その存在感は際立っていた。
 
「怪我をしているので、理想としている身体の状態ではない」と言いつつも、闘争心を武器に福岡のウェリントンと迫力あるマッチアップを展開。球際で果敢にチャレンジし相手から自由を奪うだけでなく、味方にはきめ細かな指示を飛ばし組織的な守備を機能させる。
 
 そんな奮闘の甲斐あって、チームは前半に2得点、後半には3ゴールを積み重ねて圧勝。「5点も取っているんだから、もうちょっとなんとかしなきゃいけない」と、集中力が途切れた終盤の出来に注文を付けながらも、ひとまず結果を掴んだことを良しとした。
 
 名古屋は依然として降格の危機に瀕しているものの、ジュロヴスキー体制へ移行後はわずか1敗。J1残留へ希望を見出しつつある。「残留へのキーマン」として迎えられた闘莉王も、「些細なところでの反応が良くなっている」と、チームの変化を感じ取っている。
 
?些細なところでの反応″とはおそらく、守備の意識を指しているのだろう。
 
 今の名古屋には「少しでも隙を見せたらやられる」(闘莉王)という危機感が宿る。「(プレスに)行ってないやつは怒られる感じになっている」(永井謙佑)というムードも生まれ、ボールや人への寄せ、また、1対1や球際の攻防でも手を抜く選手は誰ひとりとしていない。
 
 そういった変化が生まれたのも、なりふり構わずチームに叱咤できる闘莉王がいてからこそだろう。
 
「もう勝つしかない。他がどうこうという話ではなく、自分たちが勝たなきゃいけないので、ここからが勝負っていうのをみんなが分かってほしい」
 
 シーズンは残すところ3試合。J1残留が決定する瞬間まで、闘莉王は厳しい姿勢でチームを支え続ける。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)