[J1・第2ステージ13節]
浦和レッズ 4-0 ガンバ大阪
2016年10月1日/埼玉スタジアム2002
 
 
 浦和の遠藤航が10月1日のG大阪戦で、リベロとしてリーグ4試合ぶりの先発復帰を果たし、4-0の無失点勝利に貢献した。好調なFW長沢駿を常に視界に入れつつ、2列目から飛び込んでくるアデミウソンや倉田秋らをケア。後半早々にアデミウソンが退場して数的優位に立ったこともあったとはいえ、優勝の行方を占う宿敵との直接対決を決定機ゼロに抑えてみせた。
 
 ここ最近の紅白戦では、遠藤が主力組のリベロでプレーする機会が多かった。それでも試合本番を迎えると、那須がリベロのスタメンとして起用されてきた。今回のG大阪戦の2日前も、遠藤は主力組で安定感のある守備を見せていた。
 
 すると、その練習後、遠藤はかなり具体的な“G大阪対策”を語っていたのだ。
 
「前回(第1ステージ/●0-1)はカウンターを狙っている相手の思惑にハマってしまった。ボールの動かし方に気を付けて、勝負に行く時にはスイッチを入れたい。ハッキリとした判断が大切になる。そのためにも、前線のふたり(長沢とアデミウソン)を、リスクを冒さずいかに抑えるかがポイントになる。
 
 球際では強く行くべきところで行くことが大切。もちろん、こういう順位(第2ステージの上位同士)での対戦なので、理想は抑え込むことだけれども、すべてが思うようにいくとは限らない。だから数的同数や不利になった際には、冷静に対応するように心掛けたい」
 
 G大阪をイメージしたシミュレーション。それが頭の中で、ほぼ完璧にできているようだった。
 
 そこで、快勝を収めたG大阪戦のあと、遠藤に「もしかして、この試合で先発することはペトロヴィッチ監督から事前に直接言われていたのでは? もしくは、なんとなく伝わっていたか、感じ取っていたのでは?」と質問してみた。
 
 遠藤は真っ先に否定した。
 
「いえ、(先発するかどうかは)まったく知りませんでした(笑)。これまでと変わりません。試合当日に埼玉スタジアムに向かうバスの中でサイトを見て、自分が先発することを知りました」

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 4試合ぶりの先発復帰――。遠藤としては多少の驚きはあったものの、「もちろん、準備はできていた」と言う。
 
「普段どおりプレーしようと思いました。試合勘? 前の広島戦でもプレーしていたし(51分から出場)、そこまで試合から遠ざかっていたわけではなかったので、特に問題はありませんでした。ただ、ずっとチームが良い流れで勝っていたので、自分が先発した試合で、その流れを止めるようなことだけは避けたかったです。自分のせいで負けた、と言われたくなかったですから」
 
 日本代表の主将として戦ったリオ五輪から帰国後、途中出場した川崎戦(●1−2)、先発した神戸戦(●1−2)で結果を残せず、そのあと、プロになって初めて怪我以外でのスタメン落ちを経験した。
 
 もちろん「悔しかった」。ただしその間、浦和は再び息を吹き返しただけに、「チームが勝ち続けていたので、そのメンバーを替える必要がないという監督の考えも、もちろん分かっていました」と、不貞腐れたりするようなことはなかった。
 
 そして約1か月ぶりに訪れた、スタメン出場の機会。それでも、「ピッチに立ったらまったく問題なく、すぐに集中できました」。試合前に語っていたように長沢とアデミウソンに対する厳しいチェックを繰り返し、前を向かせることもなかった。
 
「バランスを崩さず、最後まで守れた」
 
 一方、リベロのポジションを争う那須大亮も好調である。そして試合後にペトロヴィッチ監督は、「那須はルヴァンカップ準決勝のFC東京戦で先発させます」と明言したのだ。
 
 指揮官は次のように説明した。

「ここからルヴァンカップがあり、日曜、水曜、日曜と連戦が続き、しかも日本代表の選手が抜けます。FC東京のFWの前田選手とのマッチアップの強さを考えると、那須選手のほうが合うだろうと思っているからです」
 
 10月5日のFC東京とのルヴァンカップ準決勝第1戦(19時30分、味の素スタジアム)では、日本代表の槙野智章が不在となる左ストッパーには、森脇良太か宇賀神友弥の起用が見込まれる。指揮官は前田遼一対策で那須をプレーさせようと考えているようで、遠藤が出場するのであれば右ストッパーになるか。
 
  ズラタン、高木俊幸、李忠成、青木拓矢、駒井善成……。今季の浦和はシーズン終盤に入ってからも多くの選手が、スタメンでも、途中起用でも、高いパフォーマンスを発揮している。これは近年にない傾向と言える。

 とはいえ、もちろん誰もがやはり先発(=レギュラー)の座を誰もが欲している。
 
 指揮官は基本的には、相手チームとの駆け引きなどもあり、Jリーグから公式に発表されるまでメンバーを誰にも漏らさないことにしている。それだけに、高いレベルでメンバーが切磋琢磨し合う状況のなか、このあとも埼玉スタジアムへ向かうバスの中で、“先発抜擢”を巡る悲喜こもごもの、ちょっとしたドラマが生まれるかもしれない。


取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)