[J2・34節]C大阪 1-2 清水/10月2日/長居
 
 23,781人の観衆がヤンマースタジアム長居に詰めかけて行なわれた自動昇格を争う2チームの直接対決。勝点63で3位につけるC大阪と、57で5位につける清水との一戦は劇的な幕切れとなった。
 
 10月の14時にはふさわしくない30度を超える気温と強い日差しの中で試合は幕を開けたが、このコンディションがプレーに影響しないわけがない。
 
「(攻撃に)出ていったら(疲れで)帰ってこられないんじゃないかと思っていた。そっちのがやばくて、後半のこととか考えて、そんなに前半はリスクを犯さずに、ということは頭の中にあった」
 C大阪の田中裕介がこう語ったように、両チームとも前半の45分は“様子を窺う”展開となった。無理に前線に圧力をかけることなく、多少時間がかかったとしてもボールを保持し、後半勝負という狙いが強く現われていた。
 
 ただ、その中でも際立ったのが白崎凌兵、大前元紀、石毛秀樹ら2列目の選手が絡んだ清水の攻撃。C大阪の3バックとボランチの間のスペースを狙い、ここにボールを入れてチャンスを創出。特にこのプレーを際立たせていたのが白崎だ。
 
「基本的にシラ(白崎)が中心となって攻撃が始まるというのがある。あそこは常に、シラが前を向くことによってうちの攻撃はスタートするので。今日だけではなくてやり続けていることですし。チームの形になってきている」とはDFの犬飼智也だ。比較的おとなしかった前半の中でも、清水は自分たちの攻撃の“らしさ”を随所に発揮できたことで手応えを掴んだ。
 
 しかし、その中で先にスコアを動かしたのはホームのC大阪。カウンターからの二次攻撃で右サイドの松田陸がファーへ速さ、高さ、タイミングのすべてが揃ったクロスを送ると、これにどんぴしゃのタイミングで合わせたのは途中出場の酒本憲幸。C大阪が後半立ち上がりからギアを上げて清水陣内に押し込んだなかで、ついに先制のゴールネットを揺らした。後半、清水にチャンスらしいチャンスがなかったことを考えても、これが“決まり”の一撃のように思われた。
 
 しかし、ここからがドラマの始まりだった。清水は80分に大前に変えて金子翔太を、86分に河井陽介に変えて北川航也を投入。竹内涼をアンカーに移し、途中出場のふたりをトップ下に配置して中央からの攻撃に厚みをかけると、これが見事に奏功する。
 
 89分、ペナルティエリア外中央の狭い位置で金子がキープをしてC大阪守備陣を引きつけ、前方に走り込んできた北川へラストパス。GKと1対1となった北川がこれを冷静に流し込んで同点に。その5分後、先制点のアシスト場所からほど近いところで白崎のくさびを受けた金子がリターンパス。これに反応した白崎が右足を振り抜くと、鋭く一直線にゴールネットに突き刺さった。
 
 そして、試合は終了。ここまで上位陣から勝星をなかなか奪えなかった清水がこの重要な一戦で勝利を収め、勝点を60台に乗せた。
 
「前半からバイタルで受けるのと、飛び出しができることでチャンスが生まれると思っていたが、飛び出せなかった。交代選手がよくやってくれた」と清水の小林伸二監督は4-1-4-1にシステムを変更し、2得点に絡んだ2人の選手を投入した意図を語ったが、白崎や金子、北川らの能力を最大限に活かしたこの采配が勝負を決めたと言って良い。
 
 なによりも、強敵相手に若い選手たちが自らの力で勝点3をもたらしたことは、終盤戦を戦うチームにとって非常に大きな意味がある。
 
 試合終了後、手にしたタオルを強く地面に叩きつけて悔しさを露わにしたC大阪・酒本は「負けられない試合が(これから)続く。去年はうまく切り替えができなかったので、“ここでJ1へ昇格するんだ”という気持ちを見せなければいけない」と危機感を口にした。
 
 ここまで4連勝と波に乗っていたC大阪だが、一方で今季は度重なる終了間際の失点で勝ち星を逃し続け、またも同じ展開から勝点を逃した。
 
「今シーズン何度目か分からない」と関係者も嘆いたが、負けが許されないライバルとの一戦で喫したこの敗北が、今後に尾を引かないか不安なところではある。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)