攻めて、攻めて、攻めまくれーー。ボールを奪われた時にはどうするかって? 4秒以内に奪い返すんだ。どこを攻めるのか? もちろん裏のスペースだ。
 
 今夏からセビージャを率いるホルヘ・サンパオリは、極めて攻撃的志向の強い指揮官だ。すべては、師と仰ぐマルセロ・ビエルサへの崇拝から始まった。「ニューウェルスやアルゼンチン代表を率いていた時にはずっと彼に密着した」と語るなど、まさに人生の師と呼ぶべき存在だ。
 
 そんな師の後を受ける形でチリ代表を率いて2015年のコパ・アメリカを制したサンパオリは、今度はスペインを驚かせようと意欲満々だ。もちろん、攻めて、攻めて、攻めまくることによってだ。
 
 実際、今夏はフランコ・バスケス、清武弘嗣、サミア・ナスリ、ガンソ、ルーカス・ビエット、パブロ・サラビア、ホアキン・コレア、ウィサム・ベン・ヤーデルとオフェンシブなタレントを大量補強。さらに1月にはここに、攻撃的ポジションならどこでも機能する天才ドリブラー、アテム・ベン・アルファを加えようと画策している。
 
 実はセビージャは夏にも、ニースで契約満了を迎えたこのタレントに目を付けていた。サンパオリ直々にベン・アルファに何度も誘いの電話をかけていたほどだ。
 
 ご存知の通り争奪戦を制したのはパリSGだったが、昨シーズンまで他でもないセビージャを率いていたウナイ・エメリ新監督は、ベン・アルファをあまり気に入っておらず、一時期は規律違反でベンチ外にしていたほどだ。
 
 昨シーズンにニースで華々しい復活を果たしたこの底知れないタレントが、新たな活躍の舞台を求めたとしても不思議はない。それがセビージャなら申し分ないだろう。9月下旬にはサンパオリ監督がこう語っている。
 
「彼とは(夏に)話をしたが、パリSGを選んだ。こんな状況になってしまって悲しいよ。彼のような選手が能力を発揮できていないのは残念だ。冬の移籍のために、私に電話をかけてきてくれることを祈ろう」
 
 ジネディーヌ・ジダンと同じマグレブの血が流れる天才児は、今後について考えを巡らせている。大きな期待を背負ってパリSGに入団したのにもかかわらず、思ったような出場機会が得られていないのだから、当然だ。
 
 セビージャはピッチ上だけではなく、メルカートでも攻めまくる準備を整えて、虎視眈々とベン・アルファを狙っている。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。