世代交代の遅れが懸念されている今の日本代表だが、下の世代の突き上げがまったくないわけではない。
 
 たとえば、CF。9月のアウェー・タイ戦では、負傷の岡崎に代わって先発に名を連ねたのは、21歳の浅野だった。若きストライカーは後半に貴重な追加点を奪い、ハリルホジッチ監督の期待に応えてみせた。
 
 浅野は今夏、自身初の海外移籍を果たし、現在はシュツットガルトで着実に出場機会を増やして、さらなるステップアップを遂げようとしている。一方の岡崎は、レスターで熾烈なレギュラー争いの渦中にあり、プレミアリーグを制した昨季のような存在感を放てていない。
 
 それぞれのクラブで置かれている立場の違いが、代表におけるCFの序列に影響してもおかしくはない。実績十分の岡崎と、順調に力を付けてきている浅野。ふたりはお互いの存在をどう見ているのか。
 
 浅野は「スタメンから試合に出て行かないと」と力強く語る。
 
「岡崎さんみたいな良い見本が目の前にいる。まずはあの人の良い部分をしっかり見て、盗みながら、自分のものにしていけたら、僕自身もっともっと成長していけると思います。
 
 それだけじゃなくて、僕の良いところも忘れてはいけない。そこをまず100パーセント生かしながら、岡崎さんから盗んでいって、いずれポジションを奪えるような選手にならないといけない」
 
 対する岡崎は、ライバルの出現を歓迎する。
 
「個人的には、早くそういう選手が出てきてほしいと思っていた。もちろん、(金崎)夢生だったり、武藤だったり、大迫も調子が良いし、(長沢)駿もいる。日本代表で、そういう選手がどんどん出てくるっていうのは、当然のこと。
 
 それがあるから自分も頑張れる。自分だけが“やらなければいけない”となると、代表も窮屈になる。いろんなポジションで競争があって、誰かがダメなら誰かがいる、という安心感が日本代表には必要」
 
 間違いなく、競争はチームの底上げにつながる。浅野が台頭すれば、それに刺激を受けた岡崎の“もうひと伸び”が期待できる。
 
 ともあれ、イラク戦のCFのファーストチョイスは誰になるのか。指揮官の決断はもちろん、先発を託された男とベンチで闘志を燃やす男、白熱し始めたライバル関係の行方にも注目したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)